【EC物流 3人のキーマンに聞く】SBSホールディングス、「SBSらしさ」で成長加速
大阪拠点とアプリ開発に着手
――SBSグループ各社がEC物流において注力している点は? 大森:私は20年以上、物流業務に携わっている。現在は営業がメインだが、今でも現場に入ることもある。 経験値もあるが、「これができる」という営業は一切しない。顧客が困っていることを当社がどのように解決できるかで商談を進めている。それは、売れる商品や衰退する商品が毎年のサイクルで変わるためだ。トレンドや旬の動きをキャッチアップし、顧客の困りごとと合わせて物流サービスに落とし込んでいる。 さきほど、アパレル分野の開拓が思うように進んでいないと前述した。需要を見込んで物流施設内にスタジオを作ったものの、現在、スタジオは稼働していない。これは市場が変化したことも理由の一つだ。 一方、アパレルの開拓できていないわけではない。無理してでも開拓することはできる。ただ、市場や動向を見極めていくことは重要で、今は率先して開拓していく状況ではないと判断している。 市場が動いている商材に合わせて、荷主を物流センターに招待し、信用を得たうえで契約につなげていく。 金子が話したように、大阪にも新しい物流センターができ上がる。大阪のセンターは、グループ企業のSBSリコーロジスティクス(本社東京都)とタッグを組んで体制を整えている。営業はわれわれEコマース事業推進部が担う。 関東と関西の2拠点で物流ができるメリットに加え、大阪拠点は海外への足かがりとなる施設にもしていく予定だ。 金子:新サービスの置き配便については今後エリアを拡大していく。加えて、来年にSBS専用の配送アプリをローンチする予定だ。アプリ開発は利便性をアップさせるのに最適なツールとなる。 越境を含むグローバル戦略も強化していく。その中で、サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の分野を特に強化していくつもりだ。すでに、どの領域で攻勢できるか、ある程度みえてきた。今後は事業としてモデル化していく。 <課題はスピード> ――やるべきことが明確である一方で、課題はあるか? 大森:営業は順調に獲得できている。25年4月までに、新規で12~13社を立ち上げるサイクルができている。 荷主の獲得と同時並行で、野田市の物流センター、大阪の新物流施設の準備にも追われている。 まだ未確定だが、大阪の次の物流施設の立ち上げが進む可能性もある。現場の立ち上げや運営、投資環境を作るスピード感が直近の課題だろう。 曲渕:倉庫現場の改善を主とする私にとっては、荷主獲得や倉庫拡大が進む中、最適な自動化の設計が直近の課題だ。 少し難儀なところはあるが、アパレル専用や雑貨専用など商材などの特性に合わせた自動化の推進を進めようとしている。 ――今後の戦略については? 大森:EC物流の売上1000億円の目標に向けて、われわれが中心となり進めていく必要がある。今後は、大手や物量の多い大口の企業にアプローチしていく。 金子:事業戦略側としては、プラットフォーム作りと考えている。 曲渕:自動化のところをいかにリアルの現場に落とし込んでいくかも重要になってくる。
日本ネット経済新聞