東福岡、復権。雨中で魂と質を表現し、3年ぶりの選手権へ
[11.10 選手権福岡県予選決勝 東福岡高 2-0 東海大福岡高 博多の森陸上競技場] 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 ヒガシ、復権! 第103回全国高校サッカー選手権福岡県予選決勝が10日、福岡市の博多の森陸上競技場で行われ、東福岡高と東海大福岡高が激突。東福岡が2-0で勝ち、3年ぶり23回目の全国大会出場を決めた。 3度の選手権優勝を誇る東福岡は今年、新人戦、インターハイ予選と無冠で決勝進出も初めて。だが、プレミアリーグWESTで粘り強く勝ち点を重ね、8位につけている。決勝の先発は、GK後藤洸太(3年)、右SB福川聖人(3年)、CB大坪聖央(3年)、CB山禄涼平(3年)、左SB柴田陽仁主将(3年)、中盤は底の位置に大谷圭史(3年)が入り、その前方に佐藤宏耀(3年)と塩崎響(3年)、右に児玉愁都(3年)、左に神渡寿一(3年)、そして最前線に伊波樹生(3年)が構えた。 一方、東海大福岡はインターハイ予選に続く決勝進出。2012年度大会以来となる選手権予選決勝の先発は、GKが中村海星(3年)、右SB斉藤大生(2年)、CB長谷川陸(3年)、CB鈴木陽太(3年)、左SB濱口幸生(2年)、中盤中央はアンカーとして構えるMF永田覚都主将(3年)と浅香寛太(3年)、原口青尚(2年)で構成し、前線は右に梅本琉成(3年)、左に倉田連(3年)、中央に池田蒼音(3年)が構えた。 東福岡の平岡道浩監督、東海大福岡の伊藤良太監督ともに就任1年目の新任監督が率いる両校の戦いは立ち上がり、東海大福岡が永田や倉田、原口らがミドルレンジから積極的にシュート。開始10分ほどで3本、4本とシュートで攻撃を終える。対する東福岡は10分、塩崎が敵陣でのインターセプトから決定的な右足シュート。だが、これは東海大福岡GK中村がストップする。 東海大福岡はともにフィード力のある長谷川や鈴木から、倉田や池田の前方のスペースをシンプルに活用。また、永田を中心にセカンドボールを回収し、連続攻撃に結びつける。一方の東福岡は左の神渡と右の児玉の両翼へボールを動かし、彼らの縦へのドリブルを交えた崩しにチャレンジ。15分、東福岡は神渡のパスで相手のポケットをついた佐藤が左足を振り抜き、18分には児玉の右クロスのこぼれを佐藤が左足ダイレクトボレーで叩く。ドライブ回転のかかった一撃はクロスバーを直撃。ゴールエリアにこぼれたが、東海大福岡CB長谷川がかき出した。 東福岡はインターハイ予選準決勝で福岡大若葉高に20本以上のシュートを放ちながら決めきれず、カウンターを食らって0-3で敗れている。だが、平岡監督が「(夏場に)基礎技術もしっかり頑張って、ゴール前のトレーニングもしてきています」と語っていたチームは奪った後の1本目のパスがしっかり繋がっていたほか、この日はワンタッチのパスを交えてのサイドチェンジを見せ、攻守の切り替えも速い。 20分には山禄の縦パスで神渡が抜け出しかけ、24分にも中央から伊波が力強いドリブルで運ぶと、神渡が左足でフィニッシュした。東海大福岡も前半終了間際に長谷川が左足ミドルにトライ。また、セットプレーからもゴールを目指したが、高さで上回る東福岡は福川や大坪、山禄が裏のケアを怠らず、柴田が安定した守備を見せる。一方の東海大福岡も守りの要である鈴木と長谷川を中心に安定。後半は斉藤が相手の縦突破を止め切るなど対人守備の強さを見せていた。 また、後半7分には左クロスのこぼれを原口が右足で狙い、11分には中盤でインターセプトした永田のパスから倉田が1人かわしてフィニッシュ。だが、東福岡や山禄や西田がブロックして得点を許さず、逆にカウンターから児玉と神渡の2人で攻め切るなど譲らない。後半14分、東福岡は児玉とMF稗田幹男(3年)を交代。直後の15分、東福岡がリードを奪う。 左中間で塩崎のフリックしたボールを受けた伊波がキックフェイントでDFのタックルをかわす。そのまま右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。待望の先制点に歓喜の東福岡イレブン。対する東海大福岡は20分、原口に代えてMF松崎華都(3年)を投入し、梅本を中央へ移して反撃に出る。永田や浅香が攻撃を組み立て、松崎が推進力のある動きでFKを獲得。だが、東福岡も25分、カウンターから伊波がドリブルで前進し、ラストパスを受けた稗田が決定的な左足シュートを放つ。守備意識高く戦いながら次の1点を目指していた。 東海大福岡は30分、濱口の左FKに鈴木が競り勝ち、その後の混戦から鈴木が左足シュート。だが、東福岡は守備範囲が持ち味という山禄が再びブロックする。また、191cmの大型GK後藤が高さを発揮するなど1-0を維持。プレミアリーグ残留を目指す上で平岡監督から「手堅いチーム」になることを求められてきた東福岡は崩れない。 東海大福岡は32分に準決勝で決勝点のFW田中蒼大(2年)とDF福田大翔(2年)を送り出した。東福岡も直後にMF西田煌(2年)とFW齊藤琉稀空(2年)、FW山口倫生(2年)を同時投入。東海大福岡はゴール前へ長いボールを蹴り込むが、司令塔の大谷含めて空中戦、球際で戦う東福岡はリードを守ったまま、アディショナルタイムを迎える。そして、40+3分、大谷が自陣から前線へ大きく蹴り出すと、山口がPAで強引にDFと入れ替わり、右足シュート。これが右ポストを叩いてゴールラインを越えた。 雨中で勝利への執念と質も表現した東福岡が2-0で勝利。スタンドの一般生徒たちから「おめでとうございます!!」と声を掛けられ、「ありがとう!!」返していた平岡監督は、「ただただ嬉しいだけです。魂入っていましたね。ゼロで抑えたところも魂を持ってやっていましたね」と微笑んだ。 そして、「あと5(6)試合、勝ちたいですね」とコメント。伊波は「(3年ぶりの県制覇だが、)ここでは終われないです。やっぱ全国制覇しないと終われないんで、絶対優勝します」と宣言した。名門はまだ、選手権に戻ってきただけ。全国大会で勝ち上がり、大目標を達成する。