【公務員独自の年金制度】知っておきたい「公務員の年金事情」を紐解く
公務員が受給できる年金を整理
公務員が65歳以降の老齢厚生年金や老齢基礎年金以外に受給できる年金には、「終身退職年金」と「有期退職年金」があります。 終身退職年金は文字通り、終身(亡くなるまで)受け取ることができます。 これに対して有期退職年金とは、受給期間を240月(20年)とする年金を指します。 給付事由が生じた日から6月以内に、退職年金の請求と同時に「支給期間を120月(10年)」にすることや、年金ではなく一時金として受け取ることも可能です。 退職等年金の積立額と利子額を合計したものが給付算定基礎額となり、給付算定基礎額の2分の1を有期退職年金、残りの2分の1を終身退職年金として、受給することとなります。 「有期退職一時金」では、給付事由が生じた日から6ヶ月以内に請求することで、一時金として受給することができます。請求時には、退職年金の請求と同時に行う必要があります。 次の章では、一般の厚生年金加入者との違いについて解説していきます。
一般の厚生年金加入者との違い
公務員でない一般の厚生年金加入者の方は、国民年金と厚生年金に加入しています。 勤務先によっては、企業型確定拠出年金や企業年金等に加入していることもあります。 この場合、老齢厚生年金と老齢基礎年金以外にも年金給付があることで、ある程度の安心感があるでしょう。 また、厚生年金(民間の会社員)と厚生年金(公務員)の保険料は同一です。 原則として毎年10月に決定されており、保険料は労使折半に。そのため、実際は以下の表の2分の1の保険料を支払っています。 公務員の方が支払う保険料は、この表に記載されている保険料の半分と、退職等年金給付の保険料率1.5%(組合員負担率は0.75%)の合計額となっています。 退職等年金給付についての基準金利については、国債の利回りなどを勘案しているため、運用環境が低いのが現状のようです。
まとめにかえて
1階部分の国民年金(老齢厚生年金)と2階部分の厚生年金(老齢厚生年金)をもらえる方は、公務員の方の3階部分がもらえるのがうらやましいと思われるかもしれません。 しかし、その分の保険料支払いがあるため、それなりに負担があることがわかります。 老後の不安はあるでしょうが、自助努力はどなたにとっても必要であるといえます。 3階部分の保障がない人は、個人年金に加入する、あるいは個人型確定拠出年金に加入することなどで対策ができます。 公務員の方は、以前は個人型確定拠出年金に加入することができませんでしたが、2017年1月より加入できるようになりました。加入者数は増加傾向にあります。 公務員の方は年金の3階部分があるため、一般の方に比べて年金は多いように感じるかもしれませんが、それでも不安は多いようです。 誰もが老後に備え、個人でできる備えを進めることが大切になるでしょう。
参考資料
・国家公務員共済組合連合会「退職年金の構成」 ・国家公務員共済組合連合会「退職共済年金(経過的職域加算額)」 ・国家公務員共済組合連合会「組合員の皆さまの年金保険料率などが変わります」 ・国家公務員共済組合連合会「基準利率・年金現価率の推移」 ・日本年金機構「被用者の年金制度の一元化」 ・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」 ・人事院 「退職等年金給付制度」 ・東京都職員共済組合「受給資格の仕組み」 ・内閣官房内閣人事局「令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
香月 和政