失業率10月2.5%、労働市場は拡大 有効求人1.25倍に上昇
Kentaro Sugiyama Tetsushi Kajimoto [東京 29日 ロイター] - 政府が29日発表した10月の雇用関連指標は完全失業率が季節調整値で2.5%だった。前月から0.1ポイント上昇したが、「非労働力人口」から就業者や完全失業者にシフトするなど労働市場に拡大の動きもみられ、雇用情勢は悪くないという。有効求人倍率は1.25倍で前月から0.01ポイント上昇した。 ロイターの事前予測調査で完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.24倍と見込まれていた。 総務省によると15歳以上で労働力人口に入らない「非労働力人口」は17万人減少した一方、就業者数が16万人、完全失業者数が3万人それぞれ増加した。総務省の担当者は、労働供給側からみると「雇用情勢は悪くない」との認識を示している。 伊藤忠総研のチーフエコノミスト、武田淳氏は「労働市場は完全雇用の状況にある」と指摘。日本経済は今後、年収の壁の引き上げや賃上げ機運の一段の高まり、円安の修正によって内需中心の成長軌道に乗るとし、「日銀は来月以降いつでも利上げできる」との見方を示した。 <人手不足が続く> 有効求人倍率は4月(1.26倍)以来6カ月ぶりの高水準。 厚生労働省によると、10月の有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.2%増加した。製造業や建設業などで原材料や人件費などのコスト上昇を背景に求人を手控える動きはあるものの、全体的に人手不足は続いている。 有効求職者数(同)は0.7%減。物価高騰などで家計が苦しくなる中で生活の安定志向が強まり、現在の職からの転職を様子見する動きも一部にみられた。 有効求人倍率は、仕事を探している求職者1人当たり企業から何件の求人があるかを示す。企業の多くは人手不足に対応するため賃金を引き上げて求人しているとみられ、厚労省の担当者は「雇用は決して悪い状況にはない」と述べた。