豪中銀総裁「当面は利下げできず」 コアインフレ依然高水準
Wayne Cole [シドニー 28日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のブロック総裁は28日、コアインフレ率が高すぎるため当面利下げはできないと述べ、12月利下げの可能性を事実上排除した。 ブロック総裁は経済関連会合で、第3・四半期のコアインフレ率が3.5%と中銀の目標である2─3%を上回ったとし、目標達成を確信できるまで制約的政策を維持する必要があると指摘した。 「現状、基調的なインフレ率はなお高すぎるため、短期的に政策金利の引き下げを検討することはできない」と指摘。「インフレ率を持続的に2─3%の目標レンジ内に戻すにはまだ時間がかかる」とし、11月の政策声明で示した予測で目標への持続的回帰は2026年と想定していると述べた。 借り入れコストの上昇が消費支出を抑制し、経済の需給はバランスが改善しつつあるが、時間を要しているとの見方を示した。 米欧の中銀などが利下げに踏み切る中、豪中銀は政策金利を今年4.35%に据え置いている。市場は12月10日の次回理事会で0.25%利下げを決める確率は10%とみている。 ブロック総裁は、他国との金融政策運営の違いは、インフレや雇用の目標に関する優先度が異なるためだと述べた。 豪中銀は、パンデミック後の大幅な雇用増加をおおむね維持することを目指し、他国の中銀ほど政策引き締めを実施しなかった。「そのため、インフレ率の目標からの乖離(かいり)幅は他国より大きく、労働市場も逼迫度が高い」とし「現時点で労働市場は、インフレが低位安定する環境下よりも引き締まっていると判断している」と述べた。 総裁は利下げする前にインフレが目標レンジに向かっていることを確認する必要があると指摘。インフレ率が目標レンジ内に入る必要はないが、目標に向かう必要があると述べた。 トランプ次期米大統領が表明している追加関税について、今後半年の国内物価圧力に大きな影響を与える可能性は低いとの見方を示したが、中央銀行はインフレ抑制に注力していると述べた。