【選手権】前橋育英がPK戦を制し、3回戦進出 優勢に進めながらも終盤に2失点
第103回全国高校サッカー選手権大会2回戦が関東各地の会場で行われた。駒沢陸上競技場では前橋育英(群馬)と愛工大名電(愛知)が対戦した。試合は前後半2-2で決着つかず、PK戦へ。双方8人ずつ蹴りあうなか、前橋育英が6-5で辛くも勝利を収め、3回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】前橋育英 vs 愛工大名電 最後まで分からない、高校サッカーの怖さ、面白さが凝縮されたゲームだった。 先制は前橋育英。前半7分、DF29牧野奨(2年)の左サイドからのクロスからMF10平林尊琉(2年)が得点を挙げた。その後も高い個人技と息の合ったコンビネーションから攻勢をかけた前橋育英は前半37分、MF7白井誠也(2年)のパスを受けたMF11黒沢佑晟(3年)が追加点をあげ、ゲームを優勢に進めた。後半に入っても前橋育英ペースは変わらず、愛工大名電にほぼ何もさせないほど圧倒的な展開を見せた。しかし好事魔多し。ひとつのファールがゲームの流れを変えた。後半20分、前橋育英はペナルティエリア付近でファールを与えてしまう。 防戦一方の愛工大名電には千載一遇の直接FKのチャンス。キッカーMF6 三岡優(3年)の放ったボールを代わったばかりのFW9岩間丈一郎(3年)が頭で合わせて、1点差に。続く後半22分にも愛工大名電、FKのチャンスからあと少しのところまで迫った。 ただここは経験則のある巧者・前橋育英。冷静さを取り戻したのか、立て続けにチャンスを演出。試合を決定づける3点目がいつ入ってもおかしくない状況を作り続けた。 こうなると前橋育英の逃げ切りと誰もが感じた後半40分、ペナルティエリア内で相手選手を倒し、PKの判定。愛工大名電、ビッグチャンス。これをキッカーMF7蒲池壮汰(3年)が冷静に決め、土壇場で同点に。2-2で前後半終了し、PK戦に突入した。 双方、5人目まで進み、2人ずつ外して3-3。6人、7人目を成功し、迎えた8人目。先攻の前橋育英が成功。続く後攻の愛工大名電のシュートをGK1藤原優希(3年)が見事に防いで試合終了。前橋育英が競り勝ち、3回戦進出を決めた。 「勝ててよかったです」と胸をなでおろした様子の前橋育英・山田耕介監督。 「愛工大名電のプレス、背後へのボールは迫力があって、前半も後半もなかなか普段通りにボールを展開できず仕舞いでした。(選手が)怖がって、相手をはがすことができず、どんどんリズムが悪くなってしまいました。決定的な3点目はありましたが、決め切れれば…」と振り返った。 ゲームを支配しながら、終盤、不用意なファールからの2失点について「ことしの典型的な失点のパターン。あたふたしてしまいました」とメンタル面の脆さを指摘するとともに、コンディションなどの問題でじゅうぶんな陣容が組めないなかでも「頼りになる選手がいるがどうか。追い詰められたときにしっかりまとめられる選手がいませんでした。そこでなんとかしなければならない。いい勉強でした」と困ったときこそ束ねられる選手の必要性を語った。 前回大会、前橋育英は2回戦で神戸広陵に2-0で敗れ悔しい思いをしたが、今回、2年ぶりの3回戦進出となった。 2025年1月2日に駒沢陸上競技場で行われる帝京大可児(岐阜)戦に向け、山田監督は「とにかく次に進めて、良い試合ができるチャンスをもらったということで次は頑張りたいです」と抱負を語った。 (文・写真=佐藤亮太)