中国が「報復関税」規定した関税法を施行 トランプ氏就任前に貿易戦争への応戦態勢整える
【北京=三塚聖平】中国は1日、相手国が国際条約や貿易協定に反して関税を引き上げた場合に報復関税を課せると規定した「関税法」を施行した。欧米諸国との貿易摩擦が激化していることに対応する狙いがあるとみられる。来年1月のトランプ次期米大統領の就任を控え、中国は貿易戦争への応戦態勢を整えている。 全7章72条で構成される関税法は、制定目的として「輸出入秩序を守り、対外貿易を促進する」ことに加え、「国家の主権と利益を守る」ことを掲げた。関税に関して「中国共産党の指導を堅持する」としている。 内容面では、貿易相手国が国際条約や協定に違反して中国側に禁止・制限措置や関税引き上げなどを行った際に、相手国からの輸入品に報復関税などの措置をとれると規定した。国際条約などに反して最恵国待遇や関税優遇を履行しない場合、「相互主義」に基づいて相手国に相応の措置を講じ得ることも定めた。 関税法は今年4月に成立した。従来の「輸出入関税条例」を格上げした形だ。中国は第1次トランプ政権との貿易戦争でも追加関税などの報復措置で対抗した。北京の外交筋は「従来の枠組みでも対抗可能だが、法制度を整えて措置の正当性を高める狙いがありそうだ」と指摘する。 中国は、欧米諸国との対立を念頭に置いた法整備を進めている。2021年には外国の対中制裁に対して入国禁止や資産凍結といった措置を講じることを盛り込んだ「反外国制裁法」を施行した。今年10月にはハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の国家管理を強化する「レアアース管理条例」を施行。半導体の輸出規制で対中圧力を強めている日米欧に対抗する狙いが指摘されている。