2050年には45%が単身世帯に!おひとりさまの老後を過ごすには年金はいくら必要?
年金を月15万円受給できる人はどのくらいいる?
前出の65歳以上の単身世帯の社会保障給付(年金など)は約12万円でしたが、その額では3万円程度不足することがわかりました。つまり、月15万円年金を受給できれば、最低限ではあるものの年金だけで生活ができることになります。 では、公的年金を月15万円受給できる人はどのくらいいるのでしょうか。自営業者など、国民年金のみを受給する人の場合、満額でも6万8000円(2024年度)であるため、公的年金だけでは生活できません。 公的年金だけで生活できるのは厚生年金受給者となります。 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金を受給できる人の平均年金月額をみてみると、男性は16万3875円、女性は10万4878円、全体では14万3973円となっています。 月15万円の受給できる人は、男性ではボリュームゾーンにあたり、該当する人が多くなっていますが、女性はボリュームゾーンが9万円~10万円であり、月15万円受給できる人の割合は低くなっています。 月15万円以上受給している厚生年金受給者の割合は、男性で64.88%、女性で9.25%となっています。男性は6割以上が月15万円以上受給しているのに対し、女性で月15万円以上受給している人は1割に届きません。 先述したように、国民年金のみの人も入れると、年金が月15万円以下の人はさらに多くなります。女性の場合はその割合が高いので、おひとりさまの老後対策を早めに始めておく必要があるでしょう。
公的年金だけでは足りない場合の対処法
単身世帯では月15万円の年金受給が生活していく上での必要最低限のラインといえるでしょう。今後、物価が上昇していけば、必要になる年金額はさらに増えます。 そこで、老後の生活に困らないよう、今からできる対策をお伝えします。 ●年金額を増やす 公的年金以外に、企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)、民間の個人年金保険などを利用して老後に受け取れる年金額を増やしておきましょう。国民年金第1号被保険者は「付加年金」で年金の上乗せができます。 iDeCoは誰でも利用でき、税制上のメリットが大きいため、早めに加入しておくと、長い期間、掛金分の所得控除を受けられるのでおすすめです。 ●貯蓄を増やす 老後に年金だけでは足りない場合、貯蓄を取り崩して生活することになるでしょう。その際、NISAを利用して老後資金を作っておけば、資産寿命を延ばすことができます。 これはどういうことかというと、新NISAは期限がないため、運用を続けながら少しずつ取り崩して老後の生活費に充てることができるためです。 たとえば、2000万円を65歳から月10万円ずつ取り崩すとすると、何も運用をしなければ、81歳7か月で資金が尽きてしまいます。 しかし、NISAで年率3%の運用ができれば、88歳1か月まで資産の寿命を延ばすことができます。 ●老後も長く働く 老後も長く働くことで、足りない年金分を補うことができます。 65歳以降、厚生年金を受給しながら、仕事を続けて厚生年金の被保険者となれば、支給停止となる基準を超えない限り、給料と年金を全額受け取ることができ、さらに年金額を増やすことができます(在職老齢年金)。 また、給料だけで生活できる場合は、年金の繰下げ受給を検討してみてもいいでしょう。 66歳から75歳まで繰下げることができ、増額率0.7%が繰下げた月数分増額されます(最大42%)。増額された年金は生涯にわたって続きます。