【ホワイトカラーの仕事も生成AIに奪われる?】文章作成から数学的処理まで、広がる「会話型AI」の可能性
ホワイトカラーに大きな影響を与える大規模言語モデル
そうなると、生成AIによって私たちの仕事がどのような影響を受けるのか気にせざるをえません。実際には仕事との関係だけで創造性を把握するのは単純化しすぎです。けれども多くの人にとっては大きな関心事・心配事といえるでしょう。 この10年ほどは技術と仕事との関係が活発に取り上げられてきましたが、とりわけChatGPTのような大規模言語モデルは、ホワイトカラーの仕事への影響が大きいと予想されています。 10年ほど前は、技術によって中間的なスキルの労働、つまり事務的な仕事が置き換えられるという意見がありました (ブリニョルフソン、マカフィー 2013; OECD 2016)。 高度なスキルが求められる仕事は、創造性などが必要で高い報酬を得ています。一方で肉体労働も、自分の周りの環境ややるべきタスクを把握し、それに体の動きを合わせなければなりません。しかし間に挟まれた中間的なスキルの事務作業は減るとされたのです。 また別の研究では、教育のレベルが低ければ低スキルの仕事をしていることが多く、そうした仕事は自動化されるリスクが高いという研究結果も示されていました (Arntz, et al. 2016)。けれども多くの研究では、高度な専門性が求められる仕事は、しばらくの間、それほど影響は受けないだろうと指摘されていました。 それが大規模言語モデルの登場により大きく変わりました。テキスト生成AIにより、ライターの職がなくなってしまうかもしれません。画像生成AIによりイラストレーターの職がなくなってしまうかもしれません。 大規模言語モデルは、生身の身体を使うブルーカラーの職業よりも、ホワイトカラーで高学歴が要求されるような職業に大きな影響を与えると予想されています。 このテーマに関してChatGPTを開発したOpenAIの研究者らが論文を発表しました(Eloundou et al. 2023)。論文のタイトルは「GPTsはGPTsである」です。単なる同語反復かと思いきや、そうではありません。 ChatGPTの登場以前から、GPT(General Purpose Technology)という言葉はありました。日本語でいうと汎用技術、つまりいろいろなことに使える基幹的な技術のことです。たとえば、蒸気機関や内燃機関、コンピュータやインターネットがそれにあたります。 つまり「GPTsはGPTsである」という論文のタイトルは、OpenAIのGPT(Generative Pre-trained Transformer)も、基幹技術であり、さまざまなタスクに応用されていくことを表しています。