長時間労働で標津町に賠償命令 職員死亡、パワハラは認めず
2019年に北海道標津町職員の鈴木雄大さん=当時(24)=がうつ状態となり自殺したのは、長時間労働や上司のパワハラが原因として、遺族が町に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、釧路地裁は2日、自殺は「業務に起因する」として町に計約8400万円の支払いを命じた。パワハラは認めなかった。 片山信裁判長は判決理由で、鈴木さんは19年7月に亡くなるまでの2カ月間、時間外労働が月146時間以上に達していたと認定。「業務が過重な状況なのは容易に認識できたのに、適切な人事上の措置を取らなかった」と指摘した。 一方、パワハラに関しては、上司が大声で叱ったことなどは認めたが「継続的に暴言や無視をしていたとは認められず、大声での叱責も業務上の指導の範囲を逸脱するとは言えない」として、パワハラには該当しないと判断した。 父省三さん(70)は判決後の報告集会で「パワハラが認められず残念で悔しい。だがその他は満足いく判決だった」と語った。町は「判決文が届いてから内容を精査し、控訴するかどうか検討する」としている。