「色気ヤバい」カッコいいだけじゃない…大ヒットドラマで木村拓哉が演じた「意外な闇キャラ」
■『華麗なる一族』苦悩する御曹司・万俵鉄平
山崎豊子さんの小説が原作の『華麗なる一族』は、2007年1月14日から3月18日までTBS系で放送された。 本作は木村さんをはじめ、北大路欣也さんや鈴木京香さん、長谷川京子さん、山本耕史さんなど錚々たる顔ぶれが名を連ね、話題を呼んだ。 木村さん演じる万俵鉄平は、父で銀行家の大介と折り合いが悪かった。父に認められたいと思いながらも、鉄平は、銀行ではなく阪神特殊製鋼の専務としてその才覚を発揮していく。人望があり、経営の才覚もある鉄平だが、それでも大介は彼を認めようとしない。そして、その大介の態度に鉄平は追い詰められていってしまう。 本作では、強大な権力を持つ父に抗う強さを持つ鉄平が徐々に押し潰されていってしまう姿が丁寧に描かれている。当初、鉄平は「夢を見ることができなければ、未来を変えることはできません」と、金と人脈でのし上がってきた父親と正反対の考えを口にするほどの情熱を持っていた。 しかし、最終的には雪山に1人で行き、最悪の決断をしてしまうこととなる。「思えば僕の人生の中心にはいつも父がいた」と、最期の瞬間まで父との関係に翻弄され続けた鉄平の苦しみが描かれた最終話は、胸が痛くなってしまうラストだった。 華麗なる一族に生まれ、泥臭く会社を大きくしていこうとする姿が印象的なだけに、闇を抱える繊細な鉄平は魅力的なキャラクターだった。そんな彼をときにたくましく、ときに儚く演じた木村さんの演技も必見だ。 衝撃の結末を迎えた最終回の視聴率は30.4%を記録するなど、本作は平成を代表する社会派ドラマの金字塔となった。 闇を抱えたキャラクターを演じるのは、非常に難しいことのように思う。木村さんが演じてきたこうしたキャラクターたちは、哀しさとともに色気を持っているのも特徴的で、それも人々を惹きつける理由の一つとなったのだろう。 『ロングバケーション』や『ラブジェネレーション』のキラキラした主人公たちとは全く違う闇の深いキャラを演じる木村さんの色気、そしてミステリアスな表情・雰囲気をあらためて見てみてはいかがだろうか。
スパロウ