「色気ヤバい」カッコいいだけじゃない…大ヒットドラマで木村拓哉が演じた「意外な闇キャラ」
■『ギフト』カッコ良さと危険な魅力が融合した早坂由紀夫
『ギフト』は、1997年4月16日から6月25日にフジテレビ系で放送された社会派ドラマだ。本作は木村さんの単独初主演連続ドラマとなった記念すべき作品でもある。 木村さん演じる記憶喪失の青年・早坂由紀夫は、ギフトの配達をする“届け屋”として働いている。記憶を失った原因は不明で、分かっているのは「届ける」という行為に異様な執念を抱えていることだけ。さまざまな人とかかわっていくなか、やがて由紀夫の秘密が明らかになっていく……という物語だ。 由紀夫の初登場シーンは衝撃的だった。彼は51億円という巨額の横領をしていた代議士の家のクローゼットで、一糸まとわぬ姿で血まみれ、意識を失った状態で発見される。 そんな謎の青年・由紀夫を演じた木村さん。代名詞ともいえる長髪とファッションセンスに加え、時に感情を爆発させる激しい演技、危うさにも魅了されてしまう。 恋愛ドラマが主流となっていた当時、社会派サスペンスドラマである本作は注目され、ドラマ初回の最高視聴率は23.0%と話題作となった。基本的には1話完結型のストーリーであったため、非常に視聴しやすい作品だったこともよかったのだろう。 若かりし日の木村さんの中性的な美しさとミステリアスなカッコ良さが際立つ本作。脇を固める室井滋さん、篠原涼子さん、小林聡美さん、忌野清志郎さんなどの俳優陣も見応え満載。一見の価値ありだ。
■『空から降る一億の星』危険な雰囲気漂う男・片瀬涼
木村さんが明石家さんまさんとダブル主演を務めたドラマ『空から降る一億の星』は、2002年4月15日から6月24日までフジテレビ系で放送された。 明石家さん演じる刑事・堂島完三は、深津絵里さん演じる妹・優子と二人暮らしをしていた。完三はある殺人事件を追っていたが、その過程で木村さん演じる片瀬涼を怪しむように……。しかし、そうしている間に優子が涼と交流を深めていき、やがて3人は奇妙な関係でつながっていくことになる。 この作品の魅力は、登場人物がそれぞれ秘密を抱えていることだろう。涼は孤独を抱えながらも人をコントロールすることに長けており、女性にもモテる。しかし、彼の孤独を見抜き、同情するような言葉をかける優子に対して、涼は優子と一緒にいると普段の自分でいられなくなることを理由に拒絶するのだ。彼の弱さ、闇が垣間見える印象的なシーンだった。 木村さんと深津さんが繰り広げる大人な恋愛シーンも魅力の本作だが、最終的に予期せぬ展開が待ち受けている。涙なしでは見られない最終回の視聴率は27.0%を記録、有終の美を飾った。 明石家さんのシリアスな演技と闇を抱えた木村さんの演技のぶつかり合いはドラマ史にも残るほどであり、その後、2018年には韓国でもリメイクされるほどの高い評価を獲得している。