静岡県知事選、川勝氏3選で政令市2市との関係はどうなる?
現新の一騎打ちとなった静岡県知事選挙は、現職の川勝平太氏が新人でバルセロナ五輪女子柔道銀メダリストの溝口紀子氏を破り三選を果たした。当選後のインタビューで川勝氏は、「政策論争ではなく、川勝を嫌いにする運動が繰り広げられた。健全な選挙ではなかった」「川勝を引きずり降ろそうとする勢力があることを受け止めなければならない」と述べる一方、「仏の川勝になる。ケンカはしない」などと話した。
■つまり三遠南信ですね
JR静岡駅近くのホテルで、西部事務所とモニターを結んで支援者と3期目の当選を祝った川勝氏。政令市、浜松市の鈴木康友市長が「地方創生の中、産業力の強化、地域活性化に向けた取り組みをしていかなければなりません。しっかりと連携をさせていただき頑張っていきたい」とあいさつすると、「浜松は自分の原点です。ですから、そこが元気であること、いっしょにヤラマイカの精神を共有していること大変、誇りに思っております、これをさらに発展させていきたい。西の方にも東の方にも、特に北の方にも。つまり三遠南信ですね」と返した。 川勝氏は大阪生まれ、京都育ち。早稲田大学政経学部教授、国際日本文化研究センター教授などを経て、静岡県浜松市にある静岡文化芸術大学学長を務め、民主党政権前夜の2009年(平成21)年6月に民主党などの推薦を受けて出馬し、自民など推薦の新人を破り初当選した。川勝氏が「浜松は自分の原点」と話すのは、浜松で静岡文化芸術大学の学長を務めたことが、静岡県知事への歩みの原点になっていることを指すのかもしれない。また、ヤラマイカの精神とは、とにかくやってみようという進取の気性的な浜松地域の気風を指したものだ。
■250万都市圏の創造で連携
「西の方にも東の方にも、特に北の方にも。つまり三遠南信ですね」との言葉にはどのような意味があるのだろうか。三遠南信(さんえんなんしん)とはあまり聞きなれない言葉だが、静岡県西部と愛知県東部、長野県南部を含む広域圏を指す。 同地域は250万都市圏の創造を掲げて年1回、首長による三遠南信サミットを開催するなどして連携を図っており、その核にあるのが浜松市だ。そして浜松市の鈴木市長は、市が県並みの権限を有する「特別自治市」の実現を目指すことを明確にしている。 三遠南信圏の骨格となるのが、長野県飯田市と浜松市とを結ぶ三遠南信自動車道。うがった見方をすれば、川勝氏の言う北の方とは飯田市から浜松市に至る同自動車道の整備を指しているようにも思える。いずれにしても、短い挨拶のやりとりの中で、政令市・浜松市の市長と川勝氏は、知事3期目に向けた連携を改めて確認し、その緊密ぶりを示したのだった。