静岡県知事選、川勝氏3選で政令市2市との関係はどうなる?
■溝口氏得票が上回った静岡市2区
一方、今回の知事選で溝口氏の票が川勝氏の票を上回った選挙区がある。もう一つの政令市、静岡市だ。静岡市は市内3区のうち清水区を除く2区で溝口氏得票が川勝氏を上回った。自民党静岡支部は自民党県連が独自候補の擁立を断念すると、出馬を表明していた溝口氏の推薦を決め川勝氏への対抗ぶりを鮮明にした。 川勝氏と静岡市長との”確執“もささやかれる中、溝口氏はパワハラと川勝氏批判を繰り広げたが、川勝氏は、「知事と静岡市長とは対等な関係にありパワハラには当たらない。県内自治体の首長とは良好な関係にある」と訴えた。 実際、川勝氏と静岡市長、そして静岡市との関係がどのようなものであるのか、地元の報道からは必ずしも明確に伝わってこない面があるが、その関係性の要因の一つに川勝氏が2015(平成27)年に提唱した県都構想があるようだ。同構想は、二重行政の解消を理由に静岡市制を廃止し、現行の区を特別区に“格上げ”しようというもの。同構想は、その後、立ち消えになっている状態で、川勝氏自身、どこまで本気で提唱をしたのか定かでない。 しかし、静岡市との関係に亀裂を生む要因になったことは間違いないようだ。そして、その静岡市議会で多数派を占めているのが自民党だ。「川勝を嫌いにする運動が繰り広げられた」「川勝を引きずり降ろそうとする勢力があることを受け止めなければならない」との言葉は、対抗馬の溝口氏よりも、溝口氏を支援した自民勢力に向けられたもののようだ。 選挙戦を通じ「仏になる」宣言をした川勝氏。「ケンカはしないと誓ってから急速に人々の表情が変わった。市民の誤解は解けたのではないか」と当選後、話した。しかし、3期目の県政において政令市・静岡市とどのような関係を構築するのか、その具体的な発言は当選後にはなかった。祝勝会で支援者であるスズキの鈴木修会長から「川勝さん、仏の川勝にならなくて、個性豊かな行政をやってください」と浜松からモニター越しに呼び掛けられると、「個性豊かな仏になります」と川勝氏は応えていた。