災害備えで米販売急伸 8月、小売り倍増 産直サイトは10倍
頻発する地震や台風に備えようと、消費者が米を買い込む動きが活発化している。民間調査によると、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発出された8日からの数日間や、台風7号が関東に接近した16日の前後で、小売店の米の推計売上高が前年比2倍超となるなど急伸。産直サイトでも8月の取扱高が10倍となるなど異例の伸びを記録した。 【グラフで見る】米の推計売上高の推移 市場調査会社のインテージの調べによると、全国のスーパーやドラッグストアなどでの米の推計売上高は9、10日は共に、前年比2・1倍となった。地震に備えた買い込み需要が活発化したとみられる。中でも東海と近畿地方で伸び幅が大きく、9日は共に3倍近くに伸びた。 「台風7号が非常に強い勢力で関東、東北地方太平洋側に接近する」と注意が発出された前後でも、推計売上高が急伸。15日が2・2倍、16日が同1・9倍となった。こうした中、スーパーなどでは米が不足する事態が多発。大手スーパーチェーンは「入荷があったとしても、夕方には売り切れてしまう」という。 電子商取引(EC)でも米の販売が急拡大した。大手産直サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンによると、同サイト内での8月(26日まで)の米の取扱高が、前年から約10倍に増えた。同社広報は、「異例の水準」と驚く。 一方で、今後の反動を懸念する見方もある。9月下旬以降、2024年産新米の出回りが本格化するが、「これまでの販売ペースが維持されるかは不透明」(大手小売り)との指摘もある。
日本農業新聞