「お悩み相談コンテンツ」にある〝三角関係〟 「甘い」「叱って」リクエストに回答者は
SNSやYouTube、ラジオ、新聞……今、あらゆるメディアでお悩み相談のコンテンツが出されています。朝日新聞の人生相談コーナー「悩みのるつぼ」で回答者を務める清田隆之さんは、コンテンツにおける〝三角関係〟を意識しているそうです。10月に開かれたイベントで、臨床心理士のみたらし加奈さんと語り合いました。 【動画】イベントの様子はこちら 清田隆之さん 1980年東京都生まれ。文筆業、桃山商事代表。ジェンダー、恋愛、人間関係、カルチャーなどをテーマに様々な媒体で執筆。朝日新聞beの人生相談「悩みのるつぼ」では回答者を務める。 みたらし加奈さん 1993年東京都生まれ。臨床心理士。大学院卒業後、総合病院の精神科に勤務。現在は国際心理支援協会に勤務しながら、朝日新聞デジタルRe:Ronの連載「みたらし加奈の味方でありたい」で回答者を務める。 水野梓(ファシリテーター) 朝日新聞withnews編集長・記者。1985年茨城県生まれ。2008年入社。大分総局、新潟総局、大阪編集センター、科学医療部、メディアデザインセンターを経て現職。
相談者と回答者、読者の〝三角関係〟
清田:「モヤモヤ」のコンテンツで新聞の相談などは、相談者と回答者、それを読んでいる人の三角関係があります。それはすごく意識するんですよ。 例えば、読者のSNSの反応やフィードバックでは、相談者さんに「共感しました」という声もありますが、中には「この人は少し甘いんじゃないか」という声もあります。相談者さんに〝説教〟をしたい人たちもいて、「清田さん、もっと言ったほうがいいよ、叱ってよ」と言われることもあるんです。 確かに相談者さんにも改善の余地があるなと感じるときもあり、その場合は言葉をどう届けるのがいいかと考えますが、悩みごとって個人の問題というより、背景に社会構造が関与している場合も多いように感じるんですよね。 相談者さんにとっては、その人生相談がやっとの思いで手を伸ばした先ということもあります。オーディエンスを意識して回答し過ぎると相談者さんが置き去りになってしまうので、そこはとても注意が必要だなと考えています。 みたらし:私もできるだけ相談者の方の言葉にフォーカスするようにしています。相談者の方の「口を塞がないように」という感じです。 水野:第三者を意識するとどうしても強い言葉になったり、記事の場合は強いタイトルや画像であおってしまったりになりがちですが、相談者の方も「強い言葉」を欲しているのでしょうか? 清田:欲している場合もあるとは思います。相談文に「ズバッと切ってください」「叱ってください」と書かれていることもあるので。 でも、そういうときでも説教みたいなことは書けない。そうではなくて、なんで「ズバッと切ってほしい」と思ってしまうのかにフォーカスしないと問題が前に進まない気がします。 みたらし:私のところにメッセージを送ってくださる方々は、おそらく厳しくというよりは優しくあたたかい空間でお話がしたいみたいな想いをもつ方が多いように感じていて、自分の表現にも合ったものだなと思います。 メディアに出るときは自分の言葉の強いところを見出しにされたり、文章構成も強い感じで書かれたりすることはありますね。 キャッチーに書かれてしまうと、心苦しいのですが修正を入れさせてもらうことはあります。でも、そのほうが多くの人に響くのかなとは考えてしまいますね。