「プロレスを知る知らないで、その人の感性や人生観など大きく変わってくる」NOAHで潮崎豪に挑戦する“なにわのルチャドール”晴斗希の哲学【週刊プロレス】
少年時代、最初にあこがれたレスラーがツバサだった。そこからメキシコ、ルチャ・リブレに思いを馳せて現地でデビューするに至っただけあって、晴斗希にとってツバサは師匠格にあたる。だからこそ今年2月25日にデビュー5周年記念大会(大阪・すみのえ舞昆ホール)を開催するにあたってツバサとのシングルマッチを組んだ。今回はプロレスラー晴斗希の原点ともいうべきツバサへの思いを紐解いてみる。 【写真】潮崎豪から3カウント奪取! 大番狂わせを起こした晴斗希の必殺技「変型エル・モメント・デ・ムエルテ」
2019年、単身メキシコに渡り、現地でデビューした晴斗希。その時に感じたのは、「ツバサさんの名前を出すと、ツバサさんと同年代のルチャドールから『まだ試合してんの?』と驚きの声が上がってました。写真を見せたら、『(体形も)全然変わってないね』って。その時点でもう20年前になるんですけどね。それだけ現地で一世風靡してた、名前が通じるレスラーだった表れでしょう」。 そのツバサとのシングル初対決は、デビュー間もない2019年8月25日、タコスパ興行(沖縄会館)の第1試合。アトランティーダで敗れたものの、この一戦からツバサとの関係は深まり、ツバサ25周年記念大会(2019年11月23日、大阪・東成区民センター)ではパンテーラ・ブレイドとのシングル戦が組まれ、50歳記念大会(2023年8月11日、同所)では8人タッグで激突した。 ツバサ自身が「最後のシングルマッチになるんじゃないか」と口にした2・25住之江での対戦を、晴斗希は「勝つことも大事でしょうけど、ツバサさんのすべてを体で感じたい」と思って迎えた。最後は相手の片腕をハンマーに決めてのドラゴンスリーパーにギブアップを喫したが、晴斗希からすれば試合を通じで技、ルチャ・リブレの極意を伝授される“継承マッチ”でもあった。 「向こうでイチから身につけたものですから、ツバサさんのルチャ・リブレの技術って本場仕込みなんです。ジャベにしても日本ではツバサさんしかできない技が引き出しにいっぱい入ってるんですよ。やられていて自分でもどこがどう決められているのかわからない。見てるファンにしても、どこがどうなっているのかわからない(笑)。でも、そんな技をすべて受け切らないと、ツバサさんのルチャ・リブレを継承したことにはならない。勝てなかったですけど、ツバサさんの体に流れているルチャ・リブレの血を注入されたんじゃないかと思います。だからこそ、それを伝えていかないといけない。ツバサさんを超えられなかったのは残念ですけど」 ある意味、プロレスは伝統文化的な側面を持っている。今でも力道山時代に初披露された技が使用されているし、そんな古典的な技を得意としているレスラーも多い。それのルチャ・リブレ版とも表現すればわかりやすいだろうか。 「プロレスを知る知らないで、その人の感性や人生観など大きく変わってくるんじゃないかと思います」と晴斗希は語る。それだけに「プロレスを知らない子供たちに、もっと知ってもらいたい」との思いも強い。 大阪でデビューしたレスラーは、異口同音に「大阪のプロレスを盛り上げていく」と口にする。晴斗希もデビューして5年はその思いが強かったが、「もっとプロレスを広めるために」NOAHへの参戦に踏み切った。 全国進出に本腰を入れるべく教壇を降りた“なにわのルチャドール”。一方でメキシコへのあこがれが募り、この7月から住吉大社近くでタコス店の経営にも乗り出した。 そんななか、自力でつかんだ潮崎豪への挑戦のチャンス。その結果はいかに……。(おわり) 橋爪哲也 <プロフィル> 晴斗希(はるとき)/本名・非公開。1998年12月14日生まれ、大阪市出身。高校時代は器械体操に打ち込む。卒業後、単身メキシコに渡り、2018年3月3日(現地時間)ダイナミック・フライ、ブラック・ストゥルエンド相手の3WAYマッチでデビュー。帰国後、道頓堀プロレスに所属する。菊池悠斗との生え抜きコンビで2020年、2022年の「道頓堀最強タッグキング」に優勝。WDWシングル&タッグ2冠王者に輝くも、2023年9月の同団体10周年記念大会でタッグパートナーである菊池に敗れてシングル王座から転落。2024年3月からNOAHに限定参戦。現在は岩崎孝樹とのコンビでWDWタッグ王座を保持する。得意技は、エル・モメント・デ・ムエルテ、クルス・メヒカーノ。180cm、85kg。大阪・住吉大社駅近くでタコス店「TACO CHAN」を経営する。
週刊プロレス編集部
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