与野党“大物”が静岡県内入り 衆院選投開票へ最後の週末 岸田氏、党変革を約束 野田氏、政権交代訴え
衆院選は27日の投開票に向けた最後の週末、与野党幹部が激戦を繰り広げる静岡県内選挙区に相次いで入って公認候補当選や比例票獲得のために街頭で声を上げた。いずれの幹部も最大の争点の一つ「政治とカネ」の問題に言及。自民党の岸田文雄前首相は党内変革を約束し、立憲民主党の野田佳彦代表は政権交代の必要性を訴えた。 「日本が正念場を迎えている時に、皆さんの期待に応えられるのは自公の政権与党しかない」。20日に静岡市清水区に入った岸田前首相は経済状況や外交情勢を踏まえ、与党への支持を懇願した。この直前には磐田市でも、党派閥の裏金問題で政治への信頼を失ったことを前総裁として謝罪し、「政治への信頼を取り戻すため、石破(茂)総裁は覚悟を決め、引き続き努力しなければならない」と党変革への決意を訴えた。 18日には、自民の小泉進次郎選挙対策委員長が掛川市でマイクを握った。「厳しい戦いをしている一つには政治とカネの問題に対する党への批判があるが、選対委員長や党執行部が負うべき責めだ」と強調し、小選挙区への影響の回避を図った。農産物の海外輸出支援強化を訴え、スマートフォンで撮影する来場者にSNSへの投稿を促すことを忘れなかった。 一方の野党。立民の野田代表は19日に浜松市中央区と沼津市で相次いで街頭に立ち、与党を糾弾した。JR浜松駅に近い大通りでは「ここは裏金問題の震源地で、新人が出てきてもだめだ。有権者がペナルティーを与えなければいけない。一票一票の積み重ねで政権交代のうねりを作り出せる。政権交代こそが最大の政治改革だ」と訴えかけた。沼津市内の商店街では「円安、物価高はアベノミクスの失敗」と糾弾。教育無償化拡大や労働法改正による賃金上昇を訴え、聴衆から拍手が起きた。 19日には自民党本部に男が火炎瓶を投げた事件が発生。いずれの会場も警備体制が厳しく、物々しい雰囲気が漂った。直接触れあう時間はわずかだったが、大物をひと目見ようと大勢の有権者が詰めかけた。 静岡県内には、衆院選の公示前にも共産党の小池晃書記局長が静岡市に、15日の公示日には国民民主党の玉木雄一郎代表が富士市に入った。今後、日本維新の会の藤田文武幹事長らも県内を来訪する予定がある。
静岡新聞社