迫るトランプ追加関税、世界経済の混乱期到来か-企業側は準備万端と
トランプ氏はまた、アップルのティム・クック氏などCEOらによる関税に関するロビー活動に耳を傾けたり、アイオワ産大豆の追加購入を確約して貿易上の脅威を和らげることを狙った欧州連合(EU)首脳のお世辞を受け入れたりするなど、ディール(取引)重視の大統領としての評判も築いた。
世界も変化した。企業は可能な限り関税を回避したり、サプライチェーン(供給網)を再編したりして関税への適応に懸命に取り組んだ。これらは今や中核的なスキルで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による混乱のほか、コスト効率の追求のみならず地政学的な要因が貿易や投資を推進する時代を迎える中で磨かれてきたものだ。
ドイツの高級車メーカーBMWやホンダなど自動車メーカーの幹部は6日の決算発表で、米国内にすでに大規模な製造拠点を持っているとして、トランプ氏による関税の嵐を乗り切る準備ができていると示唆した。
BMWのオリバー・ツィプセCEO兼会長はアナリストに対し、関税などへの対応はある程度行われるだろうが、「口先だけの問題かもしれない」として関税が課されるかどうかに関する臆測は避けたいと指摘。すでに自動車を製造している米国での販売が伸びているとした上で、「米国では今後を見据えたほぼ完璧な体制が整っている」とした。
米工具メーカー、スタンレー・ブラック・アンド・デッカーのドナルド・アランCEOは最近アナリストに対し、同社は春以来、トランプ氏の勝利と新たな関税に備えて計画を立ててきたと語った。計画では、新たな関税を相殺するために工作機械の価格を引き上げ、必要に応じて生産拠点を中国から他のアジア諸国やメキシコに移すことになっているという。
このような計画は、ビジネスの新たな現実が認識されていることを反映しているが、同時に国際競争に直面する政府にとって関税が有効な手段になり得ることを、政府当局者と企業幹部の双方が受け入れつつあることを示している。