【町田】前半戦首位を原靖FD総括「快挙、予想以上」「黒田さんのサッカーを選手が忠実に遂行」
FC町田ゼルビアの原靖フットボールダイレクター(FD)が24日、J1前半戦(19試合)を首位で終えたことについて総括した。 町田市内のクラブ施設内で対応し、「快挙と言いますか、予想以上の成績」と感想を口にした。J1は全20チームでホームアンドアウェーの38節で戦っている。その半分の19試合を終えて12勝3分け4敗(勝ち点39)で、2位の鹿島に勝ち点2差と僅差ながら首位を立っている。 「藤田社長の物資両面での全面的なサポートと、会社全体が一体感を持って戦えたというのが根本にある。さまざまな部署がありますが、それがベクトルを合わせてまとまっている」 これまで大分、清水、岡山などでも強化部長を務めた経験を持つが、クラブが一体となることは「なかなか難しいこと」だと言う。 昨季のJ2からJ1に昇格したことで、現場周りのスタッフは75人という大所帯になった。メディカルやスカウティング(分析)、主務、含むなどあらゆる部門で増員。黒田監督やコーチ陣がストレスなく、ピッチに集中できるサポート体制が取れたことが大きかったという。 そしてピッチ上のサッカーにおいては「黒田さんのマネジメント、そして選手たちが黒田さんのやろうとしていることを忠実に遂行したことが、今の成績につながっている」と答えた。 チームが掲げるのは失点しないサッカーであり、縦に速いサッカー。「ミーティングに隠し味がある」と言うように、モチベーションを上げる言葉、守備の立ち位置、ボールへの寄せ方1つ取っても細かく詰めている。実際に選手の体をつかんで、手取り足取り、体の向き、動きを確認しているという。 原FDの見解として、少し前までの川崎Fのように質の高い選手をそろえたチームなら守りを固められても打ち破っていたが、現在は若いトップ選手が海外へ選手が流出する傾向が強く、今回の一回り目においても個の質で攻略されることはなかった。そこへ「我々は常にチャレンジャーでいよう」を合言葉に、自分たちの堅守速攻スタイルを徹底したことが勝ち点につながった。 外国人選手は7人いる中、7人すべてが試合に絡むなど安定した力を発揮したことが大きかった。GK谷、主将の昌子、ダブルボランチのMF仙頭、柴戸、新しい選手もフィット。国士舘大から加入したDF望月も成長著しい。 全体的に弱点はないが、このまま首位をキープするには夏の補強もポイントになってくる。原FDは「明らかに足りないところはない。今いい選手が頑張ってくれている。ただ秋口に疲弊してくる選手もいるので、そのための準備はしています」。チャン・ミンギュの負傷離脱によって手薄のセンターバック、パリ五輪候補となる平河のバックアップとなるサイドアタッカーは課題となりそうだ。 昇格1年目のチームが前半戦を首位で折り返すのは史上初。クラブの藤田晋社長(サイバーエージェント社長)もこの結果には「すごい、びっくりって感じです」(原FD)。ホームゲームには駆けつけ、その際に原FDとはコミュニケーションを取り、チーム状況について報告する。もちろん「サッカーのところは任せてくれています」。 クラブにはJ2仕様からJ1仕様への劇的な変化が求められる中、ピッチの内外における「堅守速攻」の取り組みが、着実に形となっているようだ。【佐藤隆志】