セブンイレブンにカナダ企業が5兆円の買収提案。日本のコンビニ業界「客足増でも売上が伸びない」理由
本部とFC加盟店の共存共栄
コンビニはフランチャイズシステム(FC)を活用して本部と加盟店が共存共栄することを目的にした代表的な業態である。最初はお互いを、経営理念共同体として良好な関係の中、ベクトルを合わせながら、ビジネスを円滑にスタートさせるが、実績が思うようにいかなければ大変で、相互が見苦しく罵り合いを始め争うことになる。 お互いが不満を言い出し対決姿勢を表立って明確に示す強気な加盟店も多い。双方が話し合いでうまく解決できればいいが、言い出したら引き下がれないところも多くある。巨大なフランチャイズ本部を相手に戦う個人オーナーの覚悟は半端ではできないし、そう勝てるものではない。 加盟店同士が連携し、訴訟を起こすのはコンビニに限らず、よくある話だが、時間とお金の問題から相当な覚悟がなければできないだろう。加盟店が勝つケースはあまりないように思えるのが正直なところだ。加盟店側が勝訴したケースを紹介すると、「コンビニエンスストアにおける見切り販売妨害」について、東京高等裁判所の平成25年(2013年)8月判決で、加盟店側が勝訴した例があるがこれは稀なことである(「コンビニエンスストアの見切り販売妨害と優越的地位の濫用」より)。
今年で50年のコンビニの今後は?
コンビニは地域や生活者にとって、社会生活のインフラのひとつであり、なくてはならない存在である。単なる小売店ではなく、防犯・防災・公共サービスの提供など、地域社会における大切な役割を担っている。 少子高齢化・核家族化・女性の社会進出、ライフスタイルの変化に対応した品揃えで、カウンター商材、冷凍食品、調理麺、おにぎり、デザートなど中食を中心に販売する利便性の高い最も成長していた業態だった。 しかし、コロナが収束し、行動制限も全くなくなった今、客足が回復しているはずなのに、思うように業績は伸ばせていない実情をどう改善するか。1974年、東京の豊洲でセブンイレブンの1号店がオープンして、日本で進化したコンビニ。今年で50年だ。この節目にさらなる成長を目指した業態にブラッシュアップしてもらいたいものである。 <TEXT/中村清志> 【中村清志】 飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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