セブンイレブンにカナダ企業が5兆円の買収提案。日本のコンビニ業界「客足増でも売上が伸びない」理由
イオンが展開「まいばすけっと」に注目
コンビニは、食品、飲料、日用雑貨などを幅広く扱う長時間営業の小型店。約30坪程度の売り場にATMや多機能情報端末を備え、公共料金の支払いやチケット発行など多様なサービス機能も持ち、利便性を売る成長著しい業態だ。何も買う予定がなくても、立ち読みでブラっと寄る人も多く、ついで買いを誘発したりしていたものだった。開いていると安心する、なくては困る町のインフラ的な役割も担っていた。 しかし、社会の環境変化に迅速かつ柔軟に適合させてきたコンビニも、この節約志向の高まりに対応するのが困難になっている。また、ドラッグストアなどとの競争激化もあり、苦戦を強いられている。各社、さまざまなキャンペーンを実施しているが、なかなか優位性を確保できず、加盟店の集客支援にも苦労しているようだ。 コンビニは、食品、飲料、日用雑貨などを効率よく、小規模スペースで約3000品目を幅広く扱う小売店だが、最近は生鮮品を含む食品に特化したイオンが展開する「まいばすけっと」が注目を集めている。都心において、こだわりのある安さと品質を毎日提供するまいばすけっとは、買い物動線の長い大型スーパーと違い、効率よく買い物ができるので高齢者にも人気のようである。若者離れが深刻な中、その補完的役割を担ってくれていた高齢者まで他店に奪われる心配があり、コンビニにとっては“新たな脅威”となる存在だ。
値引きシールを貼るなどの工夫も
近くにあり便利だからと、お金より時間を節約するタイパ派の人たちに支持されていたコンビニ。店にとっては、ほぼ定価で買ってくれるからありがたい。廃棄処分を軽減させるために、値引きシールを貼り販売しているのは最近のことだが、基本は定価による販売だ。コンビニに行けば今のトレンドが分かるといったメリットも大きかったが、節約志向の人の増大に、来店数が伸びていないのも実情である。 人口減少をインバウンドによる海外旅行者で補完している日本。客数が伸びないのはコンビニ市場が飽和状態だからという理由だけではないようである。毎月、300品目以上の新商品が発売され、話題性を集めながらトレンド商品を作り出し、社会に価値を提供していたコンビニの訴求力の低下は否めない。 各社がいろいろなキャンペーンを実施し、今しか買えない、ここでしか買えない(有名シェフを冠したカップ麺など)など、限定品に弱い日本の消費者に販売チャネルを制限し、消費意欲を喚起して集客の努力をしているのはよく分かる。 また、あまり遠くに買物に行けない高齢者も昼食時にコンビニを利用している。一人暮らしをしている高齢者にとっては単に便利に買い物をするだけの場所だけでなく地域のコミュニティの場としても活用されており、地域密着の店として日課となっている人もいる。