セブンイレブンにカナダ企業が5兆円の買収提案。日本のコンビニ業界「客足増でも売上が伸びない」理由
買収額は5兆円セブン&アイHD
店舗が大型で経営効率が低いが低価格で集客力を高める大手スーパーに対し、定価販売を基本とするが小型店で小回りが効くコンビニ。コスパで勝負する大手スーパーと、経営効率が高くタイパで勝負するコンビニという両業態の対立軸は対照的だ。 セブン&アイHDがカナダの企業、アリマンタシオン・クシュタールから買収提案を受けたとの報道(読売新聞、8月19日)があった。翌日20日の朝の情報番組も一斉に報道している。買収額は5兆円らしく、世界全体で7万200店超あるコンビニのセブンイレブンがほしいのだろうと解説されていた。 アリマンタシオン・クシュタールが運営するコンビニ「サークルK」はアメリカで2位の店舗数をほこっているが、1位のセブンイレブンを買収すれば一気にマーケットシェアが高まる。
経営が非効率的だったセブン&アイHD
売上は同規模だが、時価総額が倍以上の買い手。セブン側も多様な業態を抱え、経営が非効率的だったのが実情だ。 そのための改革として、前年に百貨店事業(西武・そごう)を売却、今年ニッセンHDも売却し、祖業のイトーヨーカドーも店舗の整理を実施中だ。もしコンビニ最大手の買収が実現すれば、今後のコンビニ業界はどう変わるか気になるところだ。委員会、株主、機関投資家などの判断を注視したい。 日本フランチャイズチェーン協会の発表(2024年8月20日)によると、2024年1月からの実績では、売上は前年に対して微増(2月はうるう年で営業日数が1日多い)ではあるが、客数の前年比同期比マイナスの月も多く、かつての勢いがないのは顕著である。 【日本フランチャイズチェーン協会の発表(2024年1~7月)】 全店売上 店舗数 1店舗平均1日客数 1店舗平均客単価 1月:9229億円(+1.6%)/55,657店(-0.2%)/727人(+1.9%)/735円(-0.3%) 2月:8938億円(+5.4%)/55,657店(-0.3%)/760人(+4.3%)/728円(-1.0%) 3月:9701億円(+0.3%)/55,620店(-0.2%)/778人(-0.6%)/723円(+0.9%) 4月:9539億円(+0.2%) /55,647店(-0.2%)/804人(+0.9%)/711円(-0.7%) 5月:9858億円(+1.3%)/55,641店(-0.1%)/808人(+2.1%)/713円(-0.9%) 6月:9775億円(+1.6%)/55,637店(-0.2%)/826人(-1.2%)/709円(+0.4%) 7月:10507億円(+0.6%)/55,684店(-0.2%)/850人(+1.1%)/716円(-0.4%)