開幕戦、先発転向組…ソフトバンク開幕3カードをデータから検証する
今週の「もっとホークス」では、開幕から3カードを終えて首位タイにいるソフトバンクの戦いぶりをデータで分析します。開幕戦での無類の強さ、今季から先発に転向したリバン・モイネロ投手(28)、大津亮介投手(25)の変化などを見てみました。(球種の判定を含むデータはJapanBaseballDataなど) ■防御率1.44、先発投手成績【表】
◆とにかく強い開幕戦
ソフトバンクは3月29日のオリックスとの開幕戦(京セラドーム大阪)に3―1で勝利。これで8年連続の白星発進となった。ビジターでの開幕は前回敗れた2016年3月25日の楽天戦(コボスタ宮城。現楽天モバイルパーク宮城)以来8年ぶりだったが、ものともしなかった。 2リーグ制となった1950年以降の記録を見てみると、ソフトバンクは開幕戦に50勝22敗3分けで勝率6割9分4厘。現存の12球団でトップの強さを誇る。チームは南海時代の50~59年の10年間、開幕戦で白星を重ね続けた。12球団最長の開幕戦連勝記録だが、南海は1リーグ時代の47~49年も3連勝(47年開幕時は近畿グレートリング)しており、実質13連勝だ。 福岡移転後、93年就任の根本監督、95年の王監督、09年の秋山監督、22年の藤本監督が、チームの指揮官としての初戦に勝利。小久保新監督も初陣を飾った。敗れたのは89年の杉浦監督(86年から南海を指揮)、15年の工藤監督の2人だ。
◆先発頑張ってます
今季のソフトバンクで不安視されたのは、先発投手陣。しかし、開幕投手の有原以降、モイネロ、スチュワート、大関、東浜、大津、石川、モイネロ、スチュワートの延べ9人が、全て5回以上を投げて自責点2以下(8日時点でソフトバンクは失点、自責点ともに18)を継続している。これは13球団で唯一。和田を欠き、救援から転向した投手が2人もいる状況で非常に光っている。先発投手の防御率は12球団で西武の1.09に次ぐ1.44で1点台を誇っている。
◆モイネロ&大津の新スタイル
ソフトバンクの開幕ローテーションでは、モイネロ、大津の2人が救援からの転向組。両者ともプロ初先発で好投した。 モイネロは初先発だった3月30日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で8回3安打2失点の〝完投負け〟。それでもわずか90球で投げきるなど、しっかり試合をつくった。 この時は真っすぐの比率が低かった。昨季は全投球の50.8%を占めたが、今季最初の登板では44.4%。最速は昨季の157キロから152キロと控えめだった。しかも、真っすぐでの奪空振り率はゼロ(昨季全体は21.0%)。奪三振も4と少なめだった。変化球を多めにして打たせる先発スタイルが垣間見えた。 そして4月6日の楽天戦(楽天モバイルパーク宮城)では6回で98球を要しながらも、6奪三振で無安打という快投。真っすぐの比率は40.8%とさらに少なくなった。一昨年は14.87、昨季12.04だった奪三振率は2試合で6.43。それでも安定感は抜群だ。〝ニューモイネロ〟は早くも先発陣になくてはならない存在になった。 4日のロッテ戦(ペイペイドーム)で6回8安打ながら1失点で勝利投手となった大津も、真っすぐの比率を減らした。昨季全体の比率は49.7%だったのに対し、今回は30.6%。昨季11.6%だったフォークが21.3%に増えた。まだ登板1試合だが、多彩な球種の持ち主だけに、スタミナ次第で今後の先発にも期待できそうだ。
西日本新聞社