亀田大毅のIBF世界王者の意義
終盤に覚悟を決めた表情で、打ち合いを臨んだ大毅のファイティングスプリッツは買える。しかし、勝ちました、3兄弟の世界王者、おめでとうで、すべてを覆い尽くして、肝心の試合内容の総括を忘れてはならないだろう。まして、これまで門を閉ざしてきたIBFの世界タイトル戦が、日本で初開催されたのである。しかも、試合前には計量を巡ってのイザコザがあった。オーバーした相手陣営の態度を見ていると、単なる減量ミスにも思えず、JBCの立会いも無しに当日計量の時間を変えて終えてしまうというレギュレーションの不始末も、後味が悪い。八重樫も「試合のレベル、対戦相手の力量などを含めて、IBFという新団体を解禁してしまったことによる悪い点も見えたのかもしれません」とも言った。3位と4位の王座決定戦だから……と言ってしまえば、それまでだが、注目の新団体王座だっただけに内容への失望感も残る。 世界初の3兄弟世界チャンプをトレーナー、プロモーターとして育て、実現した父、亀田史郎氏が希望している国内でのセコンドライセンス復帰問題に対しても、今後、それを“世界初”の勢いにまかせて認めてしまっていいものかどうかという慎重な議論も必要だと思う。その意味で、あえて2階級制覇、3兄弟同時世界王者の偉業を成し遂げたタイトル戦へ賛否を交えた一文を書いた。 (文責・本郷陽一/論スポ)