鳥谷1番は正解? 初回攻撃の重要性をデータで検証
プロ野球の開幕から一週間、セ・リーグは2ゲーム差の中に5チームがひしめく混戦でのスタートとなった。その中で5勝4敗と無難なスタートを切った阪神の今年の目玉といえば「1番・鳥谷」だろう。和田監督が2年越しで実現させたこの新打順は果たして理にかなったものなのだろうか。初回の攻撃の重要性から見えてくる理想の1番打者について検証を行った。
初回に得点すれば勝利が近づく
そもそも1番という打順が最も意味を持つのは初回の攻撃である。試合の中で必ずイニングの先頭打者として打席に立つことが保証されているのは1回表と1回裏の1番打者だけだ。試合の中で唯一理想的な打順で攻撃することが確定しているこのイニングにいかに確実に得点を挙げられるか。実はこのことは試合の結果に少なからぬ影響を与えているのだ。 初回に得点を奪うことがいかに重要かということを示すデータがある。2004年以降全ての公式戦の試合結果を調査した結果、初回に1点以上得点を挙げたチームの勝率は.645、0点に終わったチームの勝率は.443であることが分かった。(表1)この差は昨年セ・リーグで優勝した巨人と最下位ヤクルトの勝率の差より大きい。初回の攻撃の成否が試合に与える影響の大きさは明らかである。
では、得点を挙げるにはどうすればよいか?そのために重要となるのが先頭打者の出塁である。表2は初回の先頭打者の出塁が、得点の確率に与えた影響を調べたものである。先頭打者が出塁した場合、1点でも得点が入る確率は約60%、出塁できなかった場合は約25%とその差は2倍以上、出塁の重要性は明らかだ。では1番打者の出塁自体はどの程度試合の勝敗に影響しているのか。それが表3だ。2004年以降の9763試合で、初回に1番打者が出塁したチームのその試合での勝率は.545、出塁しなかったチームは勝率.476。初回先頭打者の結果だけで勝率に約7%の差が生まれている。7%の勝率の差は1シーズンに換算すると約10勝、これは決して無視できない数字だ。つまり1番打者に最も要求されることとは出塁であり、出塁する確率が高い選手を1番打者にすることは試合に勝つための重要な要素であるのだ。