ガストもサイゼもジョイフルも、国内店舗数はジワジワと減少中ファミレスがもはや「時代遅れ」になってきている“深い理由”とは?
『花束みたいな恋をした』は、ファミレスの物語だ。坂元裕二が脚本を書き、2021年に公開された同作は、主人公2人の甘く、苦いラブストーリー。それは、ファミレスでの告白からはじまり、ファミレスでの別れ話で終わる。 【画像】どんどん減るガスト、業態転換の結果「何に」なった? ちなみに筆者はこうした「ファミレスでだらだらするシーン」が出てくる物語を「ファミレス文学」と呼んでいるが、本作は「ファミレス文学」の代表格といえるだろう。 学生が社会人になっていくときの心の動き、そしてある種の「子どもだった自分たちへのノスタルジー」を多分に含んだ本作は、深夜のファミレスで過ごした時間が、どこか夢のような、幻のような空間だったことも表している。ファミレスで、恋人とだらだら話した時間は、もう戻ってこない。本作を見終えたあとに感じるのは、そんな気分だ。
そして、現実に、そんな「だらだらできたファミレス」は過去のものになっているのかもしれない。 ■苦境に立たされるファミレス 日本ソフト株式会社が発表している統計データによると、2023年、ファミレスの数は前年比で店舗数が1.8%減少している(前年は3.1%減)。同サイトによると「上位4チェーンは揃って減少 増加チェーンも勢いが弱まる」とある。「ファミレス」という業態自体が、厳しい局面に置かれていることがわかる。
【画像】時代に合わなくなっていくファミレス…何に変わる? (13枚) ちなみに上位4チェーンは、ガスト、サイゼリヤ、ジョイフル、ココスで、いずれも日本を代表するファミレスチェーンである。全体としての店舗数を見ると増えているところもあるのだが、これは海外店舗を含んだ数字。国内店舗数だけを見ると、どれもジワジワと減少しているのだ。カップルがファミレスで会話をする、なんて光景も少しずつ減っているのかもしれない。
コロナ禍で、飲食業は大きなダメージを負った。ファミレスもその例外ではなく、特にガストは2022年に100店舗を閉店するなど、痛手が大きかった。最近ではコロナ禍からの回復もあって業績は上昇気味であるが、店舗数ベースで見ると、厳しい局面に置かれていることは変わらないようである。 ■ファミレス離れが顕著にわかる「すかいらーくHD」の動き 実際に、ファミレスチェーンの内部では、どのようなことが起こっているのか。詳しく見てみよう。ここで取り上げたいのは、「ガスト」や「ジョナサン」を運営する「すかいらーくホールディングス(HD)」だ。