ガストもサイゼもジョイフルも、国内店舗数はジワジワと減少中ファミレスがもはや「時代遅れ」になってきている“深い理由”とは?
労働者や店側の観点に立てば、「だらだらいる客」は望ましいものではなく、実際にこうした空間としてのファミレスは、姿を消し始めた。 でも、こうした場所としてのファミレスは、消費者にとっては、商品の種類や価格と同じぐらいか、もしかするとそれ以上に魅力的なものだったと思う。 ■ファミレスからカフェに「だらだら空間」が移った? 「居場所」という点でいえば、最近顕著なのは「カフェ」の勃興である。さきほど、「すかいらーくHD」の話題をしたときに、「ガスト」や「ジョナサン」が「むさしの森珈琲」に移り変わっている、という話をしたが、こうした「ファミレス」から「カフェ」へ、という流れも、「だらだらできる空間」を軸に見ていくと面白い。
2000年代から「カフェブーム」と呼ばれ、スターバックスやドトールのような「セルフスタイル」のカフェの数が増えている。特にスターバックスは現在1800店舗を超える店舗があり、コロナ禍のときも精力的に出店を続けていた。 興味深いのは、特に日本での出店を広げている「スターバックス」や「コメダ珈琲店」は、「だらだらいる」、つまり「長居」する客をある程度想定したビジネスモデルを作っていることだ。 例えば、スターバックスは、元CEOの岩田松雄が指摘する通り、無料WiFiや一人席、座りやすいソファなどを設けることで、長時間利用に対して寛容な姿勢を見せている。
また、コメダ珈琲店は、早朝から深夜まで営業することで、それぞれの時間帯の顧客がある程度長時間いても全体として回転率を高めることのできる仕組みを取っていて、「だらだらいる」ことがある程度は許される空間だといえる。 実際、週末に渋谷などに行ってみると、どこのスタバも行列ができていて驚く。現在、渋谷周辺には17ものスタバがある。大規模な再開発に伴って誕生した商業施設のほとんどにスタバは入っているが、それでもまだまだその供給が足りていないのは、渋谷に遊びに行く人なら感じることだろう。