海岸に集い親睦深める 龍郷町で伝統行事「ハマオレ」 奄美大島
鹿児島県龍郷町の多くの集落では16日、旧暦5月の稲作行事「ハマオレ」が行われた。地域住民らが海岸に集い、食事を囲んでだんらんし親睦を深めた。 奄美生活誌(恵原義盛著)によると、ハマオレは稲の害虫や病気を取り除くための祭り。この日は浜に下りて気の合う仲間や親戚と宴会を楽しむ。 同町円集落(村田貞雄区長、77世帯134人)では、新型コロナウイルスの影響などにより、海岸でハマオレを行うのは5年ぶり。この日は午後3時ごろから、地域住民や出身者など約60人が集まった。 宴会は円小学校の児童らによる余興や舟こぎ、スイカ割りなどで盛り上がった。稲の害虫を払う儀式「ムシケラシ」もあり、子どもたちが石を虫に見立ててツワブキの葉に包み、海に背を向けて後ろ手で投げた。児童の一人は「地域の人と触れ合えるいい機会。みんなでご飯を食べるのが楽しかった。舟こぎでは1位になれた」と笑顔を見せた。 村田区長(72)によると、かつて円集落では海岸の3カ所に分かれてハマオレを行い、500人以上が訪れることもあったという。「高齢の住民からはまた浜でやりたいとの声があった。みんなで雑談しながら楽しく遊べて良かった」と語った。