お腹の不調は腸が原因? 消化器内科医が過敏性腸症候群などの病気と胃腸の調子の悪さからくる症状を解説
便秘や下痢が続くと、お腹が張ったり苦しくなったりするだけでなく、ストレスに感じてイライラしたり、食欲がなくなったりと、心身ともに悪影響を及ぼします。そうしたお腹の不調は、もしかしたら腸の病気かもしれません。今回は、原因として考えられる疾患や、お腹の不調が生じた時の対処法、セルフケアなどを「天白宮田クリニック」の宮田先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
便秘や下痢・腹痛など、お腹の不調の原因とは? 繰り返し続くお腹の調子の悪さは病気のサイン? 考えられる病気は?
編集部: 便秘や下痢などが続くときがあります。なぜでしょうか? 宮田先生: 便秘や下痢を繰り返す原因はいくつかあります。例えば、消化器疾患が原因となって起きている場合もありますし、食べ過ぎやストレスなどで引き起こされることもあります。また、お腹の手術後にも便秘や下痢が続くことがありますし、体質的にそれらを繰り返しやすい人もいます。 編集部: 消化器疾患とは、どのようなものが考えられるのですか? 宮田先生: 「大腸がん」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などが考えられます。特に、最近注目されている疾患の1つに「過敏性腸症候群」があります。 編集部: 過敏性腸症候群とは? 宮田先生: お腹の調子が悪い状態が継続し、便秘や下痢など排便の異常が長期間続く疾患です。日本消化器病学会によると、「日本人のうち、約10%の人が過敏性腸症候群を発症している」とされています。 編集部: そんなに多くの人がかかっているのですね。原因はなんですか? 宮田先生: ストレスや自律神経の乱れなどが原因となって、腸が過敏な状態になっていることが考えられます。通常、腸の蠕動(ぜんどう)運動は脳に支配されていますが、この脳が、ストレスなどによって不安定になると、腸にも影響が及んでしまいます。そのため、腸が痛みを感じやすい知覚過敏の状態となり、刺激に対して極度に反応したり、反対に極端に働きが鈍くなったりして、下痢と便秘が交互に起こるのです。 編集部: なぜ、そうしたことが起きるのですか? 宮田先生: 原因はまだわかっていませんが、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合、回復後に発症しやすいことがわかっています。また、腸内細菌や食事などによっても引き起こされやすいと考えられています。