中小企業では「受取手形等」の売上比率は低下傾向 卸売業・製造業では手形取引の商慣習が根強く残る
<受取手形売上比率>
◇資本金別 中小企業ほど受取手形売上比率が高い、大企業は比率が上昇 資本金別で、受取手形売上比率(売上高に占める「受取手形等」割合)を算出した。売上高に対し、「受取手形等」の比率が高いほど売掛債権の回収までの期間が長いことを示唆する。 2023年は資本金1億円未満が5.0%で、資本金1億円以上の2.8%を2.2ポイント上回った。中小企業ほど売上高に対して「受取手形等」が多く、また、回収サイトも長くなる傾向にある。 一方で、受取手形売上比率の過去10年間の推移では、資本金1億円未満は2014年の5.6%から2023年は5.0%に低下したのに対し、資本金1億円以上は2014年の2.1%から2023年は2.8%に上昇している。これは大企業間の取引で「でんさい」利用が押し上げた可能性もある。 ◇産業別 2023年は卸売業が4.7%で最大 産業別の受取手形売上比率は、2023年の最大は卸売業の4.7%だった。過去10年間では緩やかに上昇をたどり、「受取手形等」残高が増えている。 次いで、製造業が3.3%、建設業が2.7%、金融・保険業が2.0%と続く。 2014年と2023年を比較すると、製造業、卸売業、不動産業、情報通信業、サービス業他の5産業で受取手形売上比率が上昇した。一方、農・林・漁・鉱業、建設業、小売業、金融・保険業、運輸業の5産業では低下した。 2020年に金融・保険業の受取手形売上比率が急上昇したが、これは母数が少ないことに加え、一時的に「受取手形等」が急増した企業が1社あり、これが押し上げた。
業種別 金属製品製造業が8.7%で最大
業種(中分類)別の受取手形売上比率では、最大が金属製品製造業の8.7%だった。 次いで、プラスチック製品製造業8.2%、家具・装備品製造業7.9%、建築材料,鉱物・金属材料等卸売業6.5%と続く。 上位15業種では、製造業が10業種を占めた。産業別の受取手形売上比率は、製造業は卸売業に次ぐ水準だったが、取扱い製品によって取引先の手形利用が多く、結果的に「受取手形等」の比率が高くなった業種もみられる。 このほか、卸売業が3業種、建設業とサービス業他の各1業種が上位にランクインした。