報道の自由は? トランプ政権発足1年、AP通信編集主幹が振り返る政権取材
そして、アメリカで起こっていることを見まして、世界の強力な報道の自由というのはもちろん、アメリカの十八番であってずっと提唱してきたんだけれども、それが損なわれつつあるということであり、アメリカのなりふりをみて、他国のリーダーが実は意を強くして、アメリカと同じような行動を取ろうとしているってことなんですね。 それと相まって、アメリカのメディアっていうのはとかく国内問題に注力しすぎる、海外にあまり注目しないことで、さらに危険な状態になっています。 より重大なことは、ニュースメディアの信憑性を意図的に傷つけているということなんですね。
トランプ大統領のメディア批判は戦略の一環
つまり、マスコミを敵視しているということはそれだけですでに危険領域に入っていると言えます。 政府がプレスを敵対視する、もしくはメディアに対してさまざまな攻撃をかけるということは民主主義国家、どこの国にとっても決して望ましいことではないはずです。 APは決してホワイトハウスと戦争などしたいと思っているわけではない。単に友好的にやっていきたい。そして、報道を人々のために正確にフェアにやっていきたいと思っているだけであります。 しかし、トランプ大統領のメディア批判というのは、戦略の一環をなしているのだと思います。アジェンダの1つに組み込まれているわけです。
トランプ政権下における、最大のチャレンジというのは、われわれがベストなジャーナリズムをすること、そして、変調なく国民に対してニュースを伝えることです。けれども、もしメディアに対しての信頼が損なわれてしまうと、報道しても国民は必ずしも報道するものを信じてくれないということで、それをどうやって克服するかということです。 ただ、トランプ氏自らがメディア不信を生み出したということではないんですね。もうすでにある程度あったものを彼が拾って助長しただけということであります。 特にトランプ氏のコアサポーターのベースではすでにメディアに対して、あれはエリートだと、東海岸のものでしょう、よりリベラルすぎると思っていたわけです。大統領は戦略として、この不信の火をあおっているということです。 事実が正しいかどうか、そんなことはおかまいなく、国内国際の対話に入れて、自分のストーリーをよりうまく、向上させるということに使っているわけです。 大統領が気に入らないものがあると、もしくは不都合な事実があると、「あれはフェイクニュースだ「偽ニュースだ」ということになってしまうわけです。それがアプローチになっている。