報道の自由は? トランプ政権発足1年、AP通信編集主幹が振り返る政権取材
何につけても「フェイクニュース」という風潮
そして最近の調査によりましても、メディアの信頼というのは党派ですっぱりわかれていると言われています。トランプ就任以来、メディアの信頼全体はすべて、民主党の方では上がってるんですね。でも共和党の有権者のなかでは、メディアへの信頼は非常に低いレベルになっています。 また、トランプ氏の事実拒否ということは波及効果も呼んでいるわけなんです。世界のその他の国のリーダーも意を強くして、(編注:聞こえず。巻き込まれる?)ようになっています。 ポーランドの外務省の官吏も、APに対してフェイクニュースを流している、外敵にポーランドを傷つけようとする陰謀に加担しているというふうに言っています。 それからご当地アジアにおきましても昨年9月、ミャンマーの元首は、「ニセの報道をメディアはしている」「誤った情報の氷山を作っている」というふうに、フェイスブックで発信しております。 ミャンマー兵士によるロヒンギャの女性の集団レイプの噂は、まったくのフェイクなものなんだと決めつけています。また先月もフィリピンのドゥテルテ大統領も同様に、フェイクニュースのアウトレットがあるというふうに糾弾しているわけです。 何につけても幅広い対象にもってゆるく「フェイクニュースだ」というふうに言ってしまうという風潮がトランプ氏のもとで世界中に今広がっています。
報道に地理的多様性を
今や不審ですとか誤った情報の山が出来てしまいました。それにどう対処していったらよろしいのでありましょうか。トランプ政権は2年目を迎えました。ということでまずは過去を振り返り、ニュース組織として学んだ教訓、今後未来にどうやっていかしていくべきか、考えるべきだと思っております。 もうショック・アンド・オー(shock and awe)は終わったわけです。ですからとりあえず振り返ってジャーナリストの使命を今一度思い出し、国民に対して正しい正確なニュースを伝える、そして意味のあるものにするということを、またコミットしてやっていくということだと思います。 APとしてこういった状況にどういう対策を取っていくのか、以下にご紹介申し上げたいと思っております。 まず地理的な多様性を確保したいということでコミットしてまいります。とかく優秀なジャーナリストばっかりなんですけれども、ジャーナリストはワシントンDCに集中しがちなんですね。 もちろん現地で真剣に真面目に仕事はしてるんですけど、しかしそれだけでは足りないのでワシントンDC以外の見方ですとか、国内、国外幅広く取材の目を広げることが重要である、そうでないと危険だと思っております。気をつけなくちゃいけないわけです。 とりあえず、アメリカ国内でしたら、各州をまわると。西海岸、東海岸以外のところにも積極的に出かけていって、現地の人の話を聞いて、何が心配なのか、何を考えているのか、聞くことです。 またアメリカの国外においても、さまざまな国を回りまして、直に現場の人たちの声に耳を傾けることです。都市だけではなく、また権力の中枢にいる人の話だけではなく、幅広く聞くっていうことです。 ということで昨年、いろいろな街にカメラを繰り出しました。日本とアジア各国で、そして直接いろんな方々にお話をうかがいました。「トランプ政権についてどういうふうに思ってますか?「選挙後、また、現地を訪問する前どういうふうに感じてますか?」というふうに意見を聴取しました。その結果はアメリカで強く注目されたので、まだ希望はあるなと思っております。