報道の自由は? トランプ政権発足1年、AP通信編集主幹が振り返る政権取材
政策報道にもっとフォーカスを
第2に、政策にもっとフォーカスを置くっていうことなんです。どういった政策上の変化があって、それが生の人々の生活にどういう影響をあたえるのかということを、すべからくジャーナリズムとして、正しく伝えなくてはいけないっていうことであります。 政府が、トランプ氏が何をツイッターで発信したとか、口で何を言ったかということよりも、もっと中身を掘り下げて、政府の政策、何が考えられているのか報道するということです。 事実ベースで人々の生活にどれが重要性で有用性があって関係するのかということを、幅広く正直に報道するということです。たとえば税制の改革法が通ったら、それが人々の生活にどう直結して影響するのか、また貿易政策はレトリックだけど本当に人々の生活は変わるのかどうか等も含めて掘り下げて報道するということです。
変わりゆくアメリカの世界に占める役割
第3に、影響というものは今後何十年ですとか何世紀にもわたって出続けるものでありますから、それらに注力して取材をやるべきであるというふうに思います。 具体的には、変わりゆくアメリカの世界に占める役割ですとか、トランプ政策によって、たとえばアメリカの世界における地位とか評判に影響が出るのか、どのくらい影響するのだろうか、またアメリカのメディアの目がワシントンで起こっていることばっかりに奪われており、その中で起こっていることだけに意味づけしようと躍起になりすぎるあまり、マスコミおよび国民もその分世界の注目がどんどん失せているといったようなことであります。 これはトランプ氏のくせ、性格、また発言だけのことではないんですね。やっぱりグローバルな舞台におけるアメリカの役割がどうなるかっていうことはとっても重要な問題でありますので、たとえば、同盟国であられる日本はトランプ氏の発言をどういうふうに解釈するのかですとか、また、アメリカは世界のリーダーシップの座からどんどん撤退してしまうのか、またアメリカの貿易政策のもたらす影響の行方ですとか、また、じゃあアジアの企業にどういう影響をあたえるのだ、また同盟国に対して、攻撃されたらアメリカが守るというコミットメントは今後どうなるのであろうか等々であります。こういった問題は重要過ぎて、決して無視できる問題でもないわけですし、トランプ氏の個性とか、性格だけから起因する問題ではないわけです。