報道の自由は? トランプ政権発足1年、AP通信編集主幹が振り返る政権取材
カオス状態だったプレスブリーフィング
実はオバマ政権下においても、報道へのアクセス権というのはあまりいい状態ではなかったんですね。特に政府が何をやっているのか、情報公開法のもとで要請してもなかなか答えは芳しくなかったんです。ホワイトハウス関連とのアクセスの問題で、争うのはいつものことで今回だけではないんです。 ただ、トランプ政権下になって、問題がぜんぜん変わってきたっていうところがちょっと気になります。現政権からわれわれが取りうる情報の質の方にまず大きな問題があるわけです。 質問に答えてもらうということでなく、いかに正確な答えを引き出すかというのがとっても大変になってきました。そして今のホワイトハウスから、検証可能な正確な情報を取るっていうことが並大抵のことではないんです。 ホワイトハウスのプレスブリーフィングは、初期は本当にカオス状態だったんですが、だんだんと収まりつつはあります。 ただ、大統領の政策を断固守るということで真実と真実でないことを織り交ぜて悪びれずに言うということは続いております。そして正式なインタビューを受ける時も、大統領はよく自分に好意的で、そしてあんまり厳しい質問を行わなそうな人を選んで、インタビューを受けてます。
脅しだけでも実害が。報道の自由が攻撃の対象に
もう一つ我々が直面してるアクセス上の問題というのは、情報のリークですとか、匿名の情報源について取り締まるぞと政府が脅しを掛けていることであります。これも懸念材料になっています。 確かにリークとか、調査が多々あるのはわかっております。法廷闘争になった時に記者を守ってくれていたいくつかの措置を司法省が削除しようと検討しているといったようなインディケーションをわれわれ掴んでいるんです。 ホワイトハウスがわれわれに対してよく情報をリークします。つまり、情報リークを攻撃するぞといっている当本人の政府内の人たちが自ら情報をリークするわけです。 脅しがどこまで本当なのかということについて判断するのはまだ時期尚早でありますので、おいおいわかってくることだと思っています。 どんな取り締まりもそうなんですけど、結局、脅しだけでも実害がすでに出ているってことです。報道の自由がアメリカの国内ですでに攻撃の対象になっているわけです。