報道の自由は? トランプ政権発足1年、AP通信編集主幹が振り返る政権取材
政策作りよりツイッターが好き
ポリシーレベルでもツイッター発信が記者にとって大きなチャレンジになっています。通常でしたらアメリカの合衆国の大統領が世の中に向かって発言するのであれば、ああ、それがアメリカの政策なんだな、というふうに想定いたしますけれども、今はそれができないわけです。 外交政策についてもツイッター発信は、よく国務省の役人が言うことと内容が異なっております。また貿易の問題ですとか、メキシコとの間に壁を立てるといったような問題になると、トランプ氏は俄然元気がでて、政策を作るよりは、非常に積極的にツイッター発信をやっております。 それからまた、ホワイトハウスとしての組織の中にも混乱が起こっている。これに加えましてわれわれが見聞きすることについても、情報がときにありすぎるという状態になっており、混乱だけのことももちろんあるのですが、そういう状態になっています。
つまり、それは常にアクセス権、もしくは取材許可をめぐって、我々は日々戦っているとも言えるわけです。トランプ政権になってアクセス権について新たなチャレンジが巡ってまいりました。 もちろん、それはある程度予想してきたことなんですね。もう選挙中でもトランプ氏は何度も何度もマスコミを攻撃していましたし、今ビデオでご覧になった通りです。 そして就任してからまもなく、数日しか立っていない時も、早速、「記者っていうのは地球上もっとも不正直な人間の一部なんだ」と発言しております。 また、ホワイトハウスのトップの側近が、今や有名になった、オルタナティブファクツ、「代わりの事実」ということも発言しました。
報道の自由は本当に侵害されたのか
1年たった今、本当に報道の自由は侵害されたのでしょうか。また、事実とレトリック、何か違いがあるのでしょうか。この辺で振り返って考えてみたいと思っております。 事実は両方混ざっているということなんです。われわれアクセス権に関しては最悪になるんじゃないかと戦々恐々としていたけれどもそれは杞憂に終わりました。 また名誉毀損の訴訟も、もう次から次へと起こるんじゃないかと恐れていたけれどもそうはなっておりません。またウエストウイングからプレスが締め出されたということはないです。カメラもちゃんとホワイトハウスのブリーフィングルームに今でも残って入っております。 ただもちろん、一時的な締め出された時はあったんですね。その時にプレスブリーフィングへのアクセスが制限されて、他社が出入り禁止になってその時は弊社もそれに追随して自分たちも欠席したんですけれども、そういった事態は一回あったけれども、その後繰り返されてはおりません。