企業が考える適正な円相場、「1ドル=110円台~120円台」が半数 ~ 希望と実態のギャップ大きく~
適正な為替レート、「120円台」が3割で最高、「110円台」が2割で続く
自社にとって適正な為替レートの水準について、「120円以上~130円未満」としている企業の割合が28.9%と最も割合が高く、次いで「110円以上~120円未満」(21.2%)が続いた。半数の企業(50.1%)が「1ドル=110円台~120円台」を適正な水準と考えており、足元の1ドル=156円(5月15日17時時点)とは大幅なかい離がある。 「海外で縫製をしているので大打撃。今でも少ない利益が飛んでしまう」(繊維・繊維製品・服飾品製造)といった、現状の円安水準での企業活動は厳しいとの声が多数あげられた。 また、「輸入と輸出をしているので円安は輸出には良いが、輸入は厳しい。120円~130円で落ち着くとビジネスがしやすく、これから先の予測もできる」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)と安定した為替相場を望む声も寄せられた。 他方、円安による輸出面での好調に加えてインバウンド消費の活発化を歓迎する声も一部で聞かれた。
円安への対策や為替相場の安定が望まれる
本アンケートの結果、昨今の円安を受けて、全体の63.9%が「利益にマイナスの影響」を受けていることが分かった。さらにそのうちの半数、全体の3割超の企業が「売上高・利益ともにマイナスの影響」を受けている。また、自社にとって適正な為替レートは「1ドル=110円台~120円台」と半数の企業が考えている。 円安は輸出企業の利益を押し上げる一方で、輸入依存度の高い内需型産業などでは原材料やエネルギー価格の上昇による物価高をさらに加速させる。 こうした上昇分を自社の商品・サービス価格へ十分に転嫁することは厳しいうえ、物価がいっそう上昇すれば家計の負担が増えて消費意欲が減退し、企業の設備投資意欲も低迷する。 企業からは急速な円安への対策や為替相場の安定を望む声が出ている。また、円安による原材料などの価格上昇分を十分に転嫁できる機運を高め、継続的な賃上げによる消費拡大、設備投資の増加という好循環へつなげていく必要があるだろう。 有効回答企業:1,046社 アンケート期間:2024年5月10日~15日