深夜の東京に現れる南国野菜の移動販売車はどこから? 東南アジア人夫婦が日本で農園を営むまで
そんな中、日本人農家から畑やハウスを貸してもらったり、近くに住むタイ人にアルバイトとして農作業を手伝ってもらったり。シーサアットさんは「みんなにたくさん助けてもらいながら畑を作った」と語る。 畑に出ると、近くで農作業する日本人農家と野菜のことや世間話に花を咲かせ、お互いを気にかけ合う関係が続いている。 シーサアットさんは「これまで自分たちがたくさん助けてもらってきた分、周りの人たちのためにできることをしたい」と強く思うようになったという。 育てた野菜は農園で直売したり、ネットで注文を受け配送したりする。日中の畑仕事を終えた後の深夜、移動販売車で回るのは、働いているタイ料理店が閉まってから買いに来るお客さんが多いためだ。 週6日は深夜から未明まで首都圏を回る日々。明け方に坂東市の自宅に戻って、また早朝から畑に出る生活を送る。身体的な負担は大きい。 それでも2人は「元気な限りは続けたい」と話す。野菜を手に喜ぶ同胞の姿に励まされてきた。
移動販売に集まるお客さんの中には、「母国料理を作る時に欠かせない」「ここで同胞に会えるのが嬉しい」と話す人もいる。 シーサアットさんは野菜を渡しながら、お互いの近況を聞いて笑い合うのが楽しみだという。「異国で一生懸命生きる同胞をタイ野菜で元気づけたい」と笑顔だった。