103万円の壁が無くなったら? アルバイトする大学生の72.1%が「もっと働きたい」
就職・転職サイトを運営するマイナビ(東京都千代田区)は、現在アルバイトをしている10~70代の男女を対象に「アルバイト就業者調査(2024年)」を実施した。アルバイト就業者全体のうち、31.5%が「就業調整をしている」と回答。就業調整ラインは「自分の所得税の非課税限度額を超えないようにする(103万円の壁)」が41.9%と最も高かった。 【画像】就業調整をしているか 属性別では、就業調整をしている割合は大学生で40.4%、主婦で54.0%だった。大学生の就業調整ラインをみると、最多は「103万円の壁」で68.0%と、全体と比較をしても特に高かった。年収103万円を超えると税法上の扶養から外れ、特定扶養控除に影響する、いわゆる「103万円の壁」のことを考慮している様子がうかがえた。 就業調整をしていると答えたアルバイト就業者に、「年収の壁」がなくなった(一定の年収額を超えて働いても手取りが減らなくなる)場合、もっと働きたいかを尋ねた。「もっと働きたい」と答えた人は全体で54.6%、大学生では72.1%にものぼった。 大学生のアルバイト就業者に経済的ゆとりがあるか聞いた。「あまりゆとりがない」と答えた割合は38.7%、「全くゆとりがない」は10.5%と、経済的ゆとりがない割合は合わせて49.2%と半数近くだった。 これらの結果からも、大学生が「103万円の壁」のために働き控えを行う現状や、経済的な余裕がないとする人の存在がうかがえる結果となった。 大学生のアルバイト就業者の「現在の年収」を調査した。最も多かったのは「90万~102万円」(28.8%)である一方、「103万円以上」は4.9%にとどまっていて、ここでも「103万円の壁」を意識して就業時間や収入を調整している傾向がうかがえた。また、大学生のアルバイト就業者の「希望の年収」では、「103万円以上」と答えた割合は19.1%と、5人に1人は103万円以上の収入を希望している結果となった。 マイナビは「アルバイトで働く人のお金に対する関心は、年金給付など将来的な視点もあるだろうが、現在の手取り収入(今使うお金)に対してより強い関心があるのだろう。企業の人手不足や働き控えの解消に向けては、働く人の現在の収入への影響も踏まえながら、『税金の壁』だけでなく年収の壁全般の在り方について議論を深めることが必要と考える」とコメントしている。 今回の調査は、現在アルバイトをしている10~70代の男女を対象に、インターネットで行った。期間は2月15~19日、有効回答数は9000人。
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