ホロライブ・火威青や三浦大知もVRChatに参戦 新型Questも登場で“お祭り騒ぎ”のメタバース業界
■新型ヘッドセット『Meta Quest 3S』発表 MetaのXRデバイスも世代交代へ? 【画像】Metaが開発中の新型ARグラス『Orion』 筋電位センサーとの組み合わせなど、これまでのARグラスから一歩進化した最新デバイス 『Meta Quest 3』の発売からおよそ1年。Metaから「お手頃なエントリーモデル」が新たに発表された。VR・MRヘッドセット『Meta Quest 3S』だ。 VRに加えMRにも対応した兼用型でありつつも、画質などは『Meta Quest 2』相当、その分価格が48,400円(税込)からと、手に取りやすい設定になっている点が特徴である。言うなれば、『Meta Quest 3』の廉価版だ。一方、基礎性能も高い『Meta Quest 3』は、今後販売ラインを512GBモデルに絞りつつ、価格を1万円以上も値下げする。お手頃な『Meta Quest 3S』の上位モデルとして位置づけたい意図がうかがえる。 そして、長らく「お手頃なエントリーモデル」として不動の地位についていた『Meta Quest 2』が、2024年内(あるいは在庫枯渇次第)に終売することも告知された。実験的機能を数多く有していた『Meta Quest Pro』も同様の対応となる。旧型機と実験機の取り扱いを終わらせ、現行機種への移行を進めるということだろう。一つの節目がやってきたと言えそうだ。 『Meta Quest 3S』が発表された開発者向けイベント『Meta Connect』では、合わせてプロトタイプのARグラス『Orion』も発表された。ARグラスながら70度の視野角を確保し、筋電位センサーを備えたリストバンド型コントローラーによって指先だけの動きで操作を可能とする、これまでのARグラスと比較しても一歩進んだ性能・コンセプトが垣間見えるデバイスだ。一般層に出回るのはまだ先と思われるが、MetaのXR全域にわたって投資を惜しまない姿勢が垣間見える。 Meta以外にもSnapがARグラス『Spectacles』を、HTCが新型VRヘッドセット『VIVE Focus Vision』を発表するなど、にわかにXRデバイス業界に新顔が現れている。とはいえ、コンシューマー的には手頃な『Meta Quest 3S』の登場と、『Meta Quest 3』値下げ、そしてトラッカー性能も好評な『PICO 4 Ultra』へ注目の視線が注がれているだろうか。 ■赤見かるびが大躍進! 「ahamo」のグループ横断ユニットにも注目 VTuber・赤見かるびが、ユニバーサルミュージックからのメジャーデビューを発表した。個人勢ながらそのキャラクターとストリーマーとの交流から急速に知名度を伸ばし、番組出演やグッズ展開など破竹の勢いで活躍を続けるVTuberが、大手レーベルからのアーティストデビューを果たす形だ。 さらに、9月29日にはeスポーツチーム・Crazy Raccoonのストリーマー部門への所属も発表。個人勢の大注目株の活躍に、今後も期待が高まる。 また、NTTドコモが提供する通信サービス・ahamoのタイアップ企画としてにじさんじ、ホロライブ、ぶいすぽっ!横断の特別ユニット・Team ahamoが始動した。国内VTuberグループの中でもトップ層に位置づけられる3グループが、このような形で横断的なユニットを組むのはなかなかめずらしい。DECO*27によるオリジナル楽曲やオリジナル漫画の制作も予定されており、どのような企画となるか、注目したいところだ。 9月28日には、「hololive DEV_IS」内グループ・ReGLOSS全員の3Dモデルがお披露目された。もともと音楽アーティストVTuberグループとして打ち出されていたグループだけに、その晴れ舞台は5名全員によるライブステージ。歌だけでなくダンスもセットで展開されるパフォーマンスは、YouTubeの急上昇ランキング1位に上り詰める勢いを見せた。さらに、ステージ衣装に加えてそれぞれの私服バージョンの3Dモデルも制作されたが、これについては興味深い事象があったので後述する。 その一方で、『ホロライブEnglish』の1期生ワトソン・アメリアが、配信活動終了を発表した。より正確には、「YouTube等のプラットフォーム・SNS上における配信活動やライブイベントの開催、定期的な新規グッズの販売等をはじめとする定常的な活動」の終了。ただし、所属は引き続き残るとのことだ。異例の対応ではあるが、卒業以外の道がVTuber業界内でも模索されているのかもしれない。 ■火威青が“異例”の3Dお披露目を発表 三浦大知もVRに興味津々? 先ほど紹介した「ReGLOSS」3Dモデル化の流れで、メンバーの一人・火威青は『VRChat』上での3Dお披露目配信を実施した。こうした企画はホロライブタレントとしては異例の動きである。 しかし、フタを開けてみればプレイ歴は5年、環境は『Meta Quest 3』と『HaritoraX ワイヤレス』の無線フルトラッキング環境、「ポピー横丁」や「ぽこピーランド」といった人気ワールドも把握し、挙句の果てに「VR睡眠」もたしなむという、いわば“生粋のVRChat住人”だった。「Meta Quest」が旧称の「Oculus Quest」だった時代を知るともなれば、相当なベテランと見受けられる。 「雑談や歌枠もいずれ『VRChat』でやりたい」「コラボHMDを出したい」と語る姿からは、「ホロライブに所属していたVRChat民」と呼んで差し支えないだろう。初配信から『VRChat』好きを公表していたとはいえ、思わぬ方角から“ガチ勢”が現れたことに、筆者も驚愕している。こうした動きを受けてか、3期生の宝鐘マリンも『VRChat』への関心を強めているところからも、なにか大きな波が訪れそうだ。 さらに、ダンサー・歌手の三浦大知も『VRChat』上での配信を試験的に実施した。こちらは市販アバターを導入した上でカスタマイズを施し、おしゃれなカフェワールドに行ってみるというシンプルな内容。配信中では今後のVRでの活動にも意欲を見せており、こちらもさらなる新規層の波を呼び起こす可能性がありそうだ。 別軸でのビッグネーム参戦といえば、「ZOZO NEXT」による『VRChat』向け衣装が発表されたことも注目したい。デジタルファッションブランド・REVINALの第3弾プロジェクトとして、12種もの製品を9月25日に一斉発表したのである。唐突な動きからは実証実験のような気配も漂うが、販売先が「BOOTH」であること、対応アバターが『桔梗』、『森羅』、『水瀬』とVRChatユーザーの間で人気のあるところをそろえているあたり、ある程度の調査は完了していると推察される。 そして、多くのフォロワーを生み出した『8番出口』もいよいよ『VRChat』にやってきた。公式ワールド「8番出口VR VRChat World」である。大元のアセットを採用しつつ、本家同様の「異変を見つけたら引き返す」ギミックも採用した、VR体験版のようなワールドとなっている。9月20日の公開直後には筆者が観測した限りでは同時接続は2700人を記録しており、多くの人々が“あの出口”へ殺到したものと思われる。Steam版『8番出口VR』のPRを兼ねた本施策は、その数値を見る限り十分な効果を得たのではないだろうか。
浅田カズラ