ディズニー、映画や配信アニメで日本市場に照準 国内作品の海外展開も
「モアナと伝説の海2」や「ライオン・キング:ムファサ」といった世界規模の劇場作品から、「キャッツ♥アイ」のような日本発の配信アニメまで…。米ウォルト・ディズニーは、日本で多種多様な海外コンテンツを展開すると同時に、日本発の作品に投資し世界に橋渡ししている。今年末の劇場公開作品と、11月にシンガポールで開催された作品発表イベントからは、日本ならではの傾向と関係性がうかがえた。 【表でみる】「ディズニー・コンテンツ・ショーケース APAC 2024」で発表された来年の日本発ディズニープラス配信作品 ■国境越える普遍性 6日に全国公開されたアニメ映画「モアナと伝説の海2」。南太平洋の島々に着想を得た世界観で、海に選ばれた少女モアナの冒険を描いた作品の7年ぶりとなる続編だ。全米公開は先月27日で、5日間のオープニング興行成績は史上最高額となる2億2100万ドル(約323億円)を記録した。日本でも先行上映含めて公開から3日間で、69・7万人を動員、興行収入は9億6400万円を突破する大ヒットスタート。「この物語は、アイデンティティーの探求という普遍的なテーマを中心に展開している」とディズニー・ジャパンの担当者。「国や国境を超えて多くの人々が共感できる普遍性を持っている」 一方で公開前は不安要素もあった。「世界的ヒット作の久しぶりの続編はあまり伸びない」というジンクスとともに、「ディズニーのヒロインには、ドレスを着たプリンセスを求めがち」(関係者)という日本独自の傾向だ。海外の大ヒットを、いかに日本へスライドさせられるかは常に課題となっている。 ■アニメに強み 日本の独自性は制作側でも見受けられる。顕著なのは優れたアニメ作品の創出で、動画配信サービス「ディズニープラス」の作品群にも表れている。 11月にシンガポールで開催されたアジア太平洋地域(APAC)のメディア向け作品発表イベント「ディズニー・コンテンツ・ショーケース APAC 2024」では、日本発の来年の注目8作品のうち、6作品がアニメだった。特に反響が大きかったのは、累計発行部数2千万部以上という北条司作の大ヒット漫画「キャッツ♥アイ」の新作アニメ化と、ディズニー作品の悪役にインスパイアされた人気ゲーム「ディズニーツイステッドワンダーランド」のアニメ版独占配信だ。 また、ディズニー傘下のルーカス・フィルムは「日本とアニメの素晴らしさを祝福するもの」として来年、日本のアニメスタジオとスターウォーズの世界観を描く「スター・ウォーズ:ビジョンズ」のシリーズ第3弾の配信を発表した。