USB4の高速伝送でノイズ抑制 コモンモードフィルター
TDKは2024年8月、高速差動伝送用ノイズ対策製品として小型薄膜コモンモードフィルターの新製品「TCM06Uシリーズ」を開発し、量産を開始した。10GHzにおけるコモンモード減衰30dBを「業界で初めて」(TDK)実現していて、主にノートPCのUSBインタフェース部への使用を想定する。 伝送信号の高速化が進む[クリックで拡大] 出所:TDK 昨今、デジタル機器の高機能化やディスプレイの高解像度化によって、伝送信号は高速化が進んでいる。例えばUSB規格では、現在販売されているPCやタブレット端末で主に使われているのは伝送速度が10.0Gbps(ギガビット/秒)のUSB3.1や20.0GbpsのUSB3.2だが、伝送速度40GbpsのUSB4 Version 1.0も徐々に展開され始めている。 こうしたデータ伝送の高速化/大容量化によって、機器から発生するノイズも高周波になり、ノイズ対策部品には高周波帯域への対応と信号伝送品質が同時に求められるようになってきている。
10GHzでコモンモード減衰がピークに
TCM06Uシリーズは高周波帯域への対応と伝送品質を保った高速信号への対応を実現する製品だ。「TCM06UX-020」は、10GHzにおけるコモンモード減衰が30dBで、高周波のノイズ抑制で特に効果を発揮するといえる。TDKは「10GHzでコモンモード減衰がピークになる製品はこれまで市場になかった。TCM06Uシリーズは新しい需要に対応できる製品だ」としている。 さらに、信号伝送品質についても、カットオフ周波数20GHzオーバーを含む3製品を展開していて、USB4 Version 1.0の1レーンに相当する20Gbpsの高速信号に対応している。特に「TCM06UX-020-2P」は20GHzにおける挿入損失が-1dBレベルと低損失だ。なお、特性インピーダンスは85~95Ωと、USB向けに最適化している。 今回の新製品では、高周波に対応した材料を採用したことや、内部のコイルの設計を見直したことによって特性の改善が実現したという。製品サイズは0.65×0.5×0.3mmで、サンプル価格は1個あたり30円(税別)だ。
EE Times Japan