「カヌレ」はなぜ定番スイーツ化していったのか? ローソンやスシローで大ヒット 「進化系」も登場した背景
大阪から始まった「第2次カヌレブーム」
1990年代の第1次カヌレブームは、神戸を本拠とする老舗ベーカリーチェーン「ドンク」を経営するドンクの影響が大きいといわれる。同社スタッフがフランス視察で見つけたカヌレ・ド・ボルドーにほれ込み、日本でもつくれないかと思案し、ボルドーにある業界団体のカヌレ協会を訪問。レシピの入手に成功すると、帰国後に試作を重ねて「カヌレ・ド・ボルドー」を発売した。 その後、反響を呼び、全国のドンク店舗にカヌレを求める顧客が押し寄せてブームになった。ドンクに続く形で、各地のベーカリーや洋菓子店がこぞってカヌレ販売を始めることになる。ちなみにドンクはカヌレ協会日本支部に入会しており、本部から贈られた「本物のカヌレを売る店」としての認定証も店内に掲示していた。 なお、1990年代には、フランスの高級ブーランジェリー「ポール」が上陸、フランス人オーナーの三重県鈴鹿市「ドミニク・ドゥーセの店」がオープンするなどしている。これらの店も第1次ブームに絡んでいると思われる。 カヌレブームは一旦落ち着くが、再ブームのきっかけになったのが大阪府箕面市にある「カフェエズ」の「箕面カヌレ」だ。フランスのレストランで働いていたオーナーが、現地でレシピを習得したといい、大阪市内に姉妹店を相次いでオープンしてカヌレ復権ののろしを上げた。 さらに「カヌレ復活」を決定付けたのは、兵庫県芦屋市に本店がある洋菓子店・ダニエルだ。小さめのサイズかつ色とりどりで、見た目がかわいらしく写真映えするカヌレのスタイルを確立。2011年に先述のルクア大阪に出店すると、カヌレに集中した品ぞろえで連日行列となる繁盛店になった。現在は系列店を含めて3店舗を展開。味はプレーン、カカオ、抹茶、いちじくくるみなどを用意。1人20箱限定で販売している。 その他、2012年に大阪市内の桜川で開業した「カヌレ堂」も人気だ。定番のカヌレは小ぶりで、緑茶にも合う「和カヌレ」という新機軸を打ち出した。