朝食はお菓子、雨の日の頭痛…「すぐに疲れてだるさが抜けない人」の特徴と対策
猛暑だけでなく、天候や気圧の急激な変化、屋外と屋内の温度差など、この時期は体に負担がかかりやすく、体調を崩しがち。連休明けにダウンしてしまったという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、夏特有の過酷な環境に負けない食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます! 【画像】「疲れやすく、だるさが抜けない人」のNG行動まとめはこちら
夏特有の気温・気圧の変化にご用心
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 274 最近、天気の変化が大きく、湿度が高く過ごしづらかったり、寝不足になったり、自律神経が乱れやすかったりすることで、だるさや疲労感、頭痛などで悩んでしまう人が増えているようです。気圧や気温などの変化によって引き起こされる気象病ですが、近年では気象病外来などを設けるクリニックもあるくらい一般的な悩みとなってきています。 また、梅雨が明けたら次は猛暑や台風と、体に負担のかかる気候はしばらく続くことでしょう。そこで、今週は気温差、気圧の変化、高温多湿の環境、エアコン完備の環境などで疲労感や体調不良を感じない強い体をつくるための食薬習慣を紹介します。 今週は、気圧や気温の変化に負けない食薬習慣 朝起きた瞬間、疲れた、だるい、喉が痛いなど不快症状を感じることはないでしょうか。眠って体を休めていたはずなのに、朝からスッキリしない一日が始まるとげんなりしてしまいますよね。よく寝たらすぐに回復するというものであれば良いのですが、寝苦しいこの時期には深い睡眠をとることは難しく、なんだかだるい、疲れたと感じる日が何日も続いてしまうことは珍しくありません。 漢方医学で、だるさや疲労感を感じやすい状況を『気血両虚』と言います。そして、気候の変動で不調を感じやすい状況を水分代謝が悪い『脾腎両虚』であったり、『痰湿』がたまっている状況であると考えることがあります。そこで、今週は『気血』を補い、『脾』や『腎』をサポートし、『痰湿』がたまるような食事を控えることがおすすめです。 今週食べるとよい食薬は、【オクラとジャコと薬味の小鉢】です。 そして逆にNG習慣は、『痰湿』がたまり、『気』を消耗してしまう【朝食代わりのお菓子】です。 食薬ごはん【オクラとジャコと薬味の小鉢】 そのまま副菜としていただいてもよいですが、豆腐や納豆、サラダ、ごはんにかけてもOKです。だるさや疲労感の改善に必要なミネラルを手軽に摂ることのできるジャコや鰹節、ゴマは常にストックしておきたい『補腎』や『補気血』ができる食材です。そこに、胃腸の働きを助け『補脾』できるオクラを和えてあげるとだるい日におすすめの食薬が完成します。 <材料>2人分 オクラ 5本(1cmに切る) ジャコ・すりごま 大さじ1 醤油 小さじ2 みりん 小さじ1 鰹節 一掴み 大葉 6枚(みじん切り) <作り方> オクラをレンジで30秒くらい温め、残りの材料を全部加えよく混ぜたら完成。 NG行動【朝食代わりのお菓子】 疲れている朝には、おまんじゅうやチョコレート、菓子パンなどお菓子を朝食の代わりにしてしまうことはないでしょうか。朝ごはんは、元気に過ごすために必要なものではありますが、何でもよいわけではありません。血糖値の急上昇が起こるような食事は、一瞬だるさの中に幸せを感じますが、その後に低血糖を起こし、だるさや集中力の低下などの症状を引き起こしてしまうことがあります。 さらに、糖質の多い食事は、その代謝にビタミンB群が消耗されてしまったり、腸内環境を乱すことで、疲れやすくなってしまいます。ご紹介した小鉢や納豆など食物繊維やたんぱく質、ミネラル、ビタミンB群などを含むものをストックし、面倒な日の朝食に加えてみてはいかがでしょうか。 この時期、毎日100%元気! という人はあまりいませんが、元気でいる対策を何もしないでいると元気はどんどんなくなってしまいます。年々、夏の気候は厳しいものとなっているので、自分の体調は自分で管理するという意識は忘れないようにしていきたいですね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)や新刊『だる抜け ズボラ腎活(ワニブックス)』でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 ※食薬とは… 『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。 近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。 ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。 Information <筆者情報> 大久保 愛 先生 漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。 公式LINEアカウント@aika 『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA) 体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。 ©Dzianis Vasilyeu/Adobe Stock
大久保 愛