田宮ら「人生が変わる」瞬間に立ち会う2024年。変わりつつあるチームカラー【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#226】
今、見ていて最高に楽しい
オールスターという意味では、郡司裕也もすごい。去年の開幕時点で、本人もまさか自分が来年、パの三塁手部門で1位を走ってるなんて考えたこともなかったろう。中日でずっと2軍暮らしを続け、チャンスに飢えていた。清宮の出遅れを見て、サードへのコンバートを志願したのも出場機会を求めてのものだ。出れるなら外野だってどこだって守るし、何番だって打つ。その意識がいちばん前面に出ているのが郡司という選手だ。またバッティングがめっぽう勝負強い。状況判断にすぐれ、繋ぐバッティング、決めにいくバッティングをしっかり使い分ける。郡司の個性はチームを強くしていると思うのだ。あんな能力の高い選手が懸命に出場機会を求めている。どちらかというとおっとりしていたファイターズのチームカラーが変わっていく。 気がつけばファイターズの選手はみんな、今、何かを証明しようとしているのだ。水野達稀は守備がどんどんうまくなり、バッティングでは主力の風格を示しつつある。水谷瞬は才能開花の瞬間を迎えている。万波中正、田中正義はパの顔に成長しようとしている。もちろん野村佑希、清宮幸太郎はポテンシャルを満天下に示す必要がある。そうしたすべてがチームに勢いをもたらしている。 そりゃソフトバンクは強大だ。しばらく交流戦で当たらなくて済むのがありがたいほどだ。だけど、ファイターズは今、見ていて最高に楽しい。「ぐんぐん郡司」じゃないけど、みんながぐんぐん成長している。直近では堀瑞輝、田中正義のリリーフ失敗を打線がカバーしたりしている。言っておくが投手も野手もミスをする。去年まではミスをしたらそれっきりだった。良いチームは仲間のミスをカバーする。そうやってチームが1つにまとまっていくのだ。さぁ、交流戦ではどんな経験をするだろう。小説でいえば「ページをめくる手が止まらない」感覚だ。 えのきどいちろう