宇都宮LRT、2024年も大ヒットのワケ! 累計乗客数ついに「600万人」突破、成功要因を今さらながら徹底解剖する
工業団地の渋滞解消
都電荒川線が走る明治通り(王子駅付近)では、軌道内を自動車が走るのが日常となっている。 しかし、宇都宮LRTでは、自動車は右折時を除き、基本的に軌道敷内の通行が禁止されている。乗降のしやすさに加えて、電車優先の交通ルールが徹底されており、これが定時運行を支える要因となっている。そのため、従来のバスよりも所要時間が大幅に短縮された。 また、宇都宮LRTは、休日日中でも1時間に5本、平日ラッシュ時には路面電車では珍しい快速を含めて1時間に9本(2024年秋時点)という高頻度で運行されており、 「待たずに乗れる電車」 となっている。これまで、LRT沿線の宇都宮市清原地区や芳賀町の工業団地にある複数の事業所では、直通送迎バスの運行や時差通勤の推奨が行われていた。しかし、両工業団地の総従業員数は約3万6000人に達しており、渋滞の抑制には限界があった。 宇都宮LRTはバスよりも速く、時間も正確なため、開通にともない、多くの工場では宇都宮駅方面から運行されていた直通送迎バスを縮小し、LRTの利用を推奨する動きが広がっている。
広々車内で実現した快適空間
国内の多くの路面電車は1~2両編成で、車内は一般の電車より少し狭く、通勤電車のようなロングシートが設置されている。 一方、宇都宮LRTのHU300形は1編成3両で、車内は広めで、ふたり掛けのクロスシートが並んでいる。座席は意外にも硬くなく、少しふわっとした座り心地で、長時間乗っても疲れにくい設計だ。 宇都宮LRTの線路の幅はJR在来線と同じ1067mmで、都電や世田谷線(1372mm、京王線などと同じ)、広島電鉄や長崎電気軌道(1435mm、新幹線などと同じ)より狭いが、その車幅は国内の超低床LRVとしては最大級の2650mm(都電は約2203mm、広島の最新型LRV・5200形は2496mm)だ。連結部の貫通路も広く、車内は開放感があり、乗り込むと予想以上に広く感じる。 広い車内には車いすやベビーカー優先スペースも十分に確保されており、天井には多くのLCD表示器(液晶画面)が取り付けられていて、停車する電停の確認も簡単だ。 このように、宇都宮LRTは 「新時代の路面電車」 としての魅力を実感させてくれる。