【バレー】「女子はレシーブ」 固定観念を覆すブロック改革 小さいチームにもできること【細田学園高 伊藤潔美監督×小川良樹エグゼクティブアドバイザー対談②】
伊藤 今までブロック練習はほんとうに1日の10分程度で(笑) フォームを確認するくらいでした。これまでは「小さいチームだからレシーブ練習をしたほうがいい」という感覚でしたから。ところが小川先生が来られて、ブロック練習だけで1時間以上やっていますね。それに加えてレシーブ練習も1時間。この二つでずいぶん練習の割合が変わってきました。 練習試合を見ていると、ブロックがちゃんとついたときは抜けるコースが少なくなってきていて、レシーバーがバタバタしていません。春高県予選決勝では苦しいときに何本かブロックが出ましたし、今までのうちではありえない点数が取れていました(笑) ブロックがきちっとできることでこんなにチームができ上がっていくとは気づきませんでした。女子はレシーブとつなぎ、という感覚をずっと持っていましたから。 小川 我々の世代はそうやって教わってしまったからね。 伊藤 ブロックで(ネットから)手が出ないんだから、そんなにやっても仕方がないだろ、と考えていましたが、変わりましたね。全国上位にいくポイントの一つなんだろうな、と思います。 ――1時間の練習ではどんなことをされていますか? 伊藤 まずはブロックに必要なトレーニングから。それからブロックのフォームとステップ練習をします。そして実際にボールを使ってステップとフォームの練習をとことんしていますね。一生懸命やろうとはしているものの、まだ完全に身にはついていませんが、今までとは違って手がしっかり伸びてきて、上のほうでボールに触れるようになってきたかなと思います。手首もしっかり固まってきて、スパイクに対して負けないようになってきたかなと感じます。 ――小川エグゼクティブアドバザーが考える、ブロックに必要なものとは何でしょうか? 小川 たくさん要素はありますが、いちばんは、「ブロックをちゃんとやろう」という気持ちではないでしょうか。 選手たちは小学生のときから「女子はレシーブ」と学んできています。跳んだ位置やフォームやステップ、どっちのコースを開けて、どっちを締めるという考えはありません。ただ跳んで、時々止まるというぐらいで。ブロック技術を身につけようという向上心も、教えていないので当然ありません。 まずは「ブロックはゲームの中でこういう役割を果たしている」「正しく跳ぶことはどういうことなのか」「それがゲームにどう作用するのか」と理解してもらわないと、一生懸命取り組めません。 逆に言うと、試合で負けたときになぜうまくいかなかったのか、という話になると、「ブロックがきちっとできていないから」となるべきところでも、「レシーブが悪かった」とボールが落ちたところを指摘することが多くて。その途中でブロックが雑だったと触れることはほとんどありません。でも、ブロックの手の出し方だったり、ボールが落ちるまでの過程が悪かったと気づいてもらうことは大事なことです。実際、そこまでこだわっているチームは、トップの2、3チームぐらいしかないのではないかと思います。 ただ、いかんせん細田は身長が低いので。小さいのであれば小さいなりにもうちょっとうまく指導できないかなと考えているところです。私は、背が高い選手たちでちょっと楽をしてきたので(笑) 伊藤 成徳のころより10㎝くらい小さいですからね。 小川 小さい子たちでどうやって相手に脅威を与えるのかは、今のいちばん課題で、頭を悩ませています。でも、男子では小さくてもうまくブロックがついてゲームをつくるチームはあるので。女子でも絶対にできるはずだ、と思います。今の主力が1、2年生なので、来年の今ごろはちょっと違ったかたちになるのではないか。ブロックがすごく強くて、後ろも落とさない嫌なチームになっている。そう思いたいよね(笑) 伊藤 「細田、随分変わったな」と思ってもらえるようになりたいですね(笑)