「朝5時に焼却炉で…」「結婚後はピザ窯に入れて…」自分の漫画を燃やした女性が”性癖を解放”できるまで
「結婚してからはピザ窯に入れて燃料にしていました」 大正時代の東京を舞台にした漫画『大正學生愛妻家』(粥川すず)が、SNSを中心に大きな話題を集めている。11月に発売された単行本も即重版が決まり、1話を発信したXの投稿は5.2万いいねを超えている。著者・粥川すずさんにデビューまでの経緯を聞いた。 【画像】大正時代を舞台にした漫画『大正學生愛妻家』 ーー幼少期はどういった漫画を読まれていたんでしょうか。 父が漫画好きだったのもあり、幼稚園生くらいの時から『はぐれ雲』を読んでいました。『ドクタースランプ』や『ドランゴンボール』などの少年漫画も兄が読み終わった後に追っかけて読んで、『あさりちゃん』や「『ちびまる子ちゃん』などの少女漫画、それから古典作品に移行して『ベルサイユのばら』や竹宮惠子先生の漫画などをたくさん読んでいました。それでいつからか、あさりちゃんやちびまる子ちゃんの絵を真似して描いてみたり。でも親にも友達にも、漫画として見せたことはなかったですね。 ーーその後、デビューするまではどういったものを描かれていましたか。 学生になってからは、好きなものを調べて漫画にしていました。アイヌの神話をモチーフにして、現代の少女がコロポックルの少年と出会うお話だったり、きのこが好きだった時は、きのこのオタク少年と、都会から来た美少女の恋みたいな話とか。あとは漁村を舞台にタコと少女の悲恋ものみたいなマニアックなものも…。 でも、そういう好きなものをオープンにした漫画は、とにかく人に見られるのが恥ずかしくて、年に一回くらい、描いたものをまとめて燃やしていました。当時、実家に焼却炉があって、早朝にこっそり起きて燃やすんです…。結婚してからはピザ窯に入れたりしてました。 ーー受賞してからは、お仕事や家事、育児とはどういう風にすみ分けていますか。 もともと、デビューさせていただくまでは夫の家の家業を手伝いながら、家事をしていました。連載のお仕事を頂いてからは漫画一本に絞りつつ、夫には家事も分担して手伝ってもらっています。そのほかにも作画用にミニチュアの和室を組みてててもらったり…。いまは、夫に物置を改装してもらい、そこで原稿作業をしています。 ーーご家族の協力体制があるんですね 息子たちにも、キャラのポージングの協力をしてもらったりしました。登場人物が着物を着ているので、アタリがあるととても描きやすくて…。友達から親が漫画を描いてることをどう思ってるのかを聞かれることもあるようですが、本人たちはあまり気にしていないみたいで、フラットに感想をくれることもあります。 さらに続きとなる記事<「シャーペン描きの『鬼滅の刃』にいいねがついたのが嬉しくてーー」絵を見られるのが恥ずかしかった女性が新人賞に応募したワケ>も、ぜひご覧ください。 粥川すず/漫画家。オホーツク地方在住。 『コリン先生随行録』 で第76回ちばてつや賞一般部門入選。『エリートは學び足りない』(全2巻)。明治・大正・昭和初期の庶民文化が大好き。近代学生文化・旧制高校に心惹かれる。
現代ビジネス編集部