UACJ、小山にビレット生産集約。生産性向上・リサイクル体制強化
UACJはアルミ押出製品の素材となるビレットについて、名古屋製作所(愛知県名古屋市)での生産を中止し、小山製作所(栃木県小山市)に集約する。名古屋製作所(愛知県名古屋市)の鋳造設備が老朽化していることに対応したもので、約40億円を投じて2026年4月をめどに小山製作所に溶解鋳造ラインを1ライン増設する。国内のビレット生産を小山に集約することで生産効率の向上と、リサイクル原料の管理体制強化につなげる。 UACJは国内にアルミ押出工場を五つ(名古屋、小山、群馬、安城、滋賀)保有しており、このうち名古屋と小山は溶解鋳造から押出、加工まで一貫対応している。一方で残る3拠点は、主に海外からビレットを調達している。 UACJでは現在、名古屋と小山でビレットを製造しているが、名古屋は板事業と鋳造工程を共同利用しているため、スラブの生産効率向上の観点からビレットの生産が制限される場面がある。そのため現在も月600トン程度のビレットを小山から調達している。そうした中、名古屋のビレット生産設備に老朽更新が必要となったため、ビレット生産の効率性を鑑み、名古屋でのビレット生産を取りやめて小山に集約することを決めた。今後、顧客の承認を受けた製品から順次小山で製造したビレットへの切り替えを進めていく。 UACJは小山製作所内に40億円を投じて溶解鋳造ラインを1ライン増設する。既存の溶解鋳造建屋から道を挟んだ隣接地に新たに溶解鋳造建屋を建設するほか、鋳造後のソーキング・切断建屋も建設し、月2千トンの増産を計画する。今回の投資により小山製作所の溶解鋳造ラインは4ラインとなる。 UACJでは今回のビレット生産集約により、ビレットの生産効率向上だけでなく、リサイクル材を用いた押出製品の生産にも注力する。ビレット用スクラップを1カ所で管理することで、多様な合金品種の製品リサイクルを効率的に推進できると見ている。