【目標タイムは給油時間!】日本初のEV向けバッテリー全自動交換ステーション
日本初の実証実験を、京都で実施
ENEOSと、アメリカのスタートアップ企業Ampleが、日本初となる『EV向けバッテリー全自動交換ステーションの実証実験』を行うというニュースが出たのは3月のこと。 【写真】ロボットの交換作業にくぎ付け! 画像はこちら (34枚) MKタクシーで知られるエムケイホールディングスが筆頭協力先となり、京都府、京都市を始め多くの企業も参加するこの実証実験は、ENEOSがこれまでに培ってきたエネルギーの安定供給ノウハウと、Ampleのモジュール式蓄電池交換システム、そしてこれまでタクシー車両の電気自動車化に積極的に取り組んできたエムケイが、新しいエネルギー供給インフラの可能性を検討するというものだ。 エムケイと言えば、2022年7月にヒョンデのBEVであるアイオニック5を、一気に40台も導入したことで話題になった。現在、同社の全タクシー840台中、182台がEVだという。自社で19の急速充電器を保有しており、ニチコンの50kWのものから、パワーエックスやイーモビリティパワー、韓国チェビの180kWのものまで、さまざまなタイプを使用している。 今後、さらに電気自動車の台数を増やしていくにあたり、充電インフラの運用面においてノウハウ獲得の必要性を鑑み、この実証実験に参加。ひいては将来的な事業化に向けて、課題の洗い出しを行っていくという。
目標はガソリン車の給油時間
実証実験が行われている場所は、京都市南区。エムケイの本社から徒歩3分ほどの通り沿いだ。そびえたつ白い四角の建物は、ちょっと大型の洗車機のように見える。 出迎えてくれたのは、Ampleのアメリカ人技術者。カリフォルニアから出向してきているのだという。そう説明してくれた、この事業のコンサルタントを務めるグロービング社の西本有里佳さんも、東京から京都に出向中だ。 早速、四角い枠の中に、日産リーフを停車させる。どのように充電するのかとコードを目で探していたら、「充電ではなく、『電池交換』をするのです」と西本さん。従来のように充電ポートにコードを差し込んで充電するのではなく、すでに満充電になっている蓄電池を車両床下部に取り付け・交換するのだという。つまり、このリーフはAmpleの蓄電池を搭載しているのだ。ちなみに、蓄電池をAmpleのものに取り換える作業は、リーフの場合1~2時間で可能だ。 おもむろにクルマが上昇する。機械の床面が開口し、車体下にロボットが滑り込んでくるのが見えた。アームが伸びてリーフの車体から電池を外し、ポットに戻っていく。ポット内で充電された電池に持ち替えたロボットが、再び車体下に移動してきて取り付けを行い、交換が完了。このリーフには4つの電池を搭載しているので、この作業を4回繰り返す。所要時間は15分ほど。見慣れぬ光景、しかもいかにもロボットっぽい動きに高揚感があり、時間の長さは全く感じなかったのだが、西本さんは「本当は5分間で完了させたい」と話す。ガソリン車の給油時間がそのくらいなのだそうだ。